Open Repositories 2017参加報告

昨年に続き今年も国際会議Open Repositoriesに参加してきました、ののレポートがJPCOARのサイトで公開されました。
https://jpcoar.repo.nii.ac.jp/?page_id=49#_href_177
http://id.nii.ac.jp/1458/00000030/

ちょうど2年ぶり、2回目のブリズベン(オーストラリア)。今回は直前になっての代打出場で多少ドタバタしたものの、行ってみれば、ポスターセッションでのおしゃべりとか(1年半前にドイツでお世話になったひとにその後の成果を報告できた)、昨年ダブリンでお会いした方々との再会とか(それっきりだったのに顔を覚えててもらえたことに感激する)、IIIFを始めとするデジタルアーカイブネタの盛り上がりとか(もうそれが当然だと思うようになったけど、リポジトリとデジタルアーカイブが同じ場所で語られる驚きがあった)、フィールズメダリストであるSir Timothy Gowersの基調講演とか(結局話しかける勇気が出なかった。。)、ホスピタリティあふれるナイトミュージアムなGala Dinnerとか(ガーディアンのコスプレで写真撮ったり)、楽しんできました。

トンガッたイベントの多い東京近辺にいれば違うのかもしれませんが……、ふだんからせっせとネットで海外情報の収集にいそしんでいても、こういう場に出てみれば、当然、知らないことや見逃していたことがたくさんあることに気づくし、ディスカッションを聞いていてそれまで見抜けていなかった本質にはたと理解が及んだりもする。何より顔見知りのひとと話せるのも楽しい。これからもこういうチャンスを捕まえつづけていきたいし、チャンスが来たら多少無理してでも行くべきだと強く感じる。あるいはたとえ自腹を切ってでも数年に一度は参加しつづけていくくらいの覚悟も必要だろう。とりあえず、来年は6月にスウェーデンのウメオでCRIS2018が開催予定なのでなんとかして行きたいところですが。。(移転直前だなぁ

* * *

途中、数年来の高熱を出して(持参した薬が切れて)現地で風邪薬を買いました。日本人の体型的に分量大丈夫なのかとMAXの文字にビビりながら全部飲み干しましたが、たしかによく効いてくれた。まずくはなく、とはいえうまいとも言えないレモン味。こんな状態で復路便乗れるんだろうか……と気が遠くなったのが良い想い出。薬はまだ残ってますので欲しい方には差し上げます。

駅前のアパートメントホテルに泊まったので多少料理もしましたが、何より、スーパーでディスカウントしてたGippsland Twist Yoghurtというヨーグルトがべらぼうに美味かったです。大当たり。ほんとに。日本で売ってたら食べすぎて絶対に太るので上陸しないでほしい。

QUTからの帰り道で見つけた、教会を改装したパンケーキ屋も美味しかった。
http://www.pancakemanor.com.au/

会場近くのQueensplazaの地下に入っていた紅茶専門店T2で、フルーツティーを中心にいくつかをお土産に。

その裏にあるNoosa Chocholate Factoryも有名らしく気になっていたけど、夕方には結構売り切れちゃっていた。

日本からの参加者の3/4がHAYASHIだった件。ファイブカードを出せる日は来るのか。
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電子ジャーナルプラットフォームの著者表示欄

UI検討のためにいろいろ調査。パターンを網羅したとかそういうわけではない。

LIBER Quarterly (ubiquity press)

  • 著者名をクリックすると下にブロックが展開
  • メールアドレス(corresponding author)、所属、ORCID iD

f:id:kitone:20170905191715p:plainf:id:kitone:20170905191719p:plain
https://www.liberquarterly.eu/articles/10.18352/lq.10210/

Journal of Library Administration (Taylor & Francis)

  • 著者名をマウスオーバーするとツールチップが表示
  • メールアドレス(corresponding author)、所属、ORCID iD

f:id:kitone:20170905192040p:plain
http://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/01930826.2017.1360021

Topology (Elsevier)

  • 著者名をクリックすると右にブロックが展開
  • メールアドレス(corresponding author)、所属、Scopus内の同著者の論文(ORCID iDがないのは例が悪いのだろうか)
  • 所属はShow moreでも表示される

f:id:kitone:20170905192214p:plain
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0040938309000159

Chemical Reviews (ACS)

  • 著者名をクリックするとACS内を著者名検索
  • ORCID iD
  • 所属はベタ書き
  • 下部にBiography欄

f:id:kitone:20170905193013p:plain
http://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.chemrev.7b00192

Nature (NPG)

  • 著者名をクリックするとツールチップが表示
  • 所属、"These authors contributed equally to this work"、メールフォームへのリンク?(corresponding author)、著者名検索(Nature、PubMedGoogle Scholar
  • 下部にContributions欄(ベタ書き)
  • Scientific Reports (NPG) も似た感じ

f:id:kitone:20170905193021p:plainf:id:kitone:20170905193410p:plain
https://www.nature.com/nature/journal/v548/n7669/abs/nature23477.html?lang=en
https://www.nature.com/articles/s41598-017-04625-5

Cell (Elsevier)

  • 著者名をクリックするとツールチップが表示
  • 所属、著者名検索(Cell Press内)
  • メールアドレスはツールチップ内ではなく、メールアイコンに
  • 下部にAuthor Contributions欄(CRediTの語彙を使っているようだ)

f:id:kitone:20170905193641p:plainf:id:kitone:20170905193647p:plain

Science (AAAS)

  • "+ See all authors and affiliations"をクリックすると下にブロックが展開
  • 著者名の右肩の数字をクリックすると、該当する所属に移動し数秒ハイライトされる

f:id:kitone:20170905194009p:plain
http://science.sciencemag.org/content/357/6354/917.full

PLOS ONE (PLOS)

  • 著者名をクリックするとツールチップが表示される
  • 役割(CRediTの語彙を使用)、メールアドレス(corresponding author)、所属、ORCID iD

f:id:kitone:20170905194803p:plain
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0183345

F1000Research (F1000Research)

  • "+ Author details"をクリックすると下にブロックが展開
  • 所属、役割(CRediTの語彙を使用)
  • ORCIDアイコンをクリックするとツールチップ
  • メールアドレスはメールアイコンに

f:id:kitone:20170905195236p:plain
https://f1000research.com/articles/6-1636/v1

参考:CRediTについて

CASRAIが定めている、著者/貢献者の役割を標準的に記述するための語彙。以下の14種類がある。
http://docs.casrai.org/CRediT

Contributor Roles/Conceptualization
Contributor Roles/Data curation
Contributor Roles/Formal analysis
Contributor Roles/Funding acquisition
Contributor Roles/Investigation
Contributor Roles/Methodology
Contributor Roles/Project administration
Contributor Roles/Resources
Contributor Roles/Software
Contributor Roles/Supervision
Contributor Roles/Validation
Contributor Roles/Visualization
Contributor Roles/Writing – original draft
Contributor Roles/Writing – review & editing

関連:

Europenaの404エラーページ

有名なネタなのかもしれないけど、Europeanaのサイトで404 Not Foundになったときの画面が面白かった(例:/http://www.europeana.eu/portal/en/eng)。

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GIFアニメになってる。なにこれ。

http://www.erikari.it/wp-content/uploads/2016/10/nonono.gif

この画像の裏話は以下にあった。

ベースになっているのは、ウェールズ国立図書館が(Europeanaで)パブリックドメインで公開している「Sir John Williams」という静止画像。それをベースに、このErika Inzitariさんが、メッシュを作成して、SpineってソフトウェアでGIFにしたっぽい。でもって今度はそれがEuropeanaに公式採用されたっていうわけか。面白いなー。

学術情報ソリューションセミナー2017 in 福岡「WALK ON THE WILD SIDE〜正解からの解放〜」

http://www.sunmedia.co.jp/information/2017solution_fukuoka.pdf

行ってきました。

福岡では例年九州大学が会場になっているけど、キャンパス移転大詰めのため、今年は西南学院大学で開催(来年はどうなるんだろう)。折しも、ちょうど4月にフォトジェニックな新図書館がオープンしたばかりで、その1階にある多目的ホールが会場になっていた。午前中は新図書館見学会・説明会も企画されていたものの、そちらはパスして職場で仕事をしていた。

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https://opac.seinan-gu.ac.jp/library/

キャパは100人程度ということだけど、カウントしたら椅子は70席程度だったかな。後ろにブースも設置するとちょっと手狭なのは否めない。でもアイスコーヒーを用意してくださったり、例年のようにサンメディアさんがいろいろと工夫されていた(が、ブースを見たりスタンプラリーする時間がまったく取れなかった……無念)。

開始前の会場には小粋な音楽が流れ、このセミナーのメイキング映像(スタッフの皆さんの準備のようす)で幕開けするなど、サンメディアの皆さんが楽しく仕事されてるのが伝わってくる。

個人的なことでは、4年ぶりにフロリダ大学のNさんとお会いして、顔を覚えていてくださったことに感涙。


以下、軽くメモを。

研究データ管理サービス〜⼤学図書館とNIIの新たなチャレンジ〜

NII尾城さん。

  • 研究者の意識調査(DOI: 10.1371/journal.pone.0021101、10.1241/johokanri.59.514)を引いて「データを公開したい、あるいは公開しなければならないが、実現できずにいる研究者が多数存在する」と。翻って日本では倉田ら(10.1241/johokanri.60.119)を引いて「日本の大学・研究機関では研究データの管理、保管、公開について、十分な認識もなく、現時点では具体的な動きは何もみられない」と。
  • 千葉大のいつもの植物画像の話を聞いていて、今後こういう画像類は従来のリポジトリとデータリポジトリのどちらで公開していくべきなんだろうねえと考える。
  • JPCOAR製作のRDMトレーニングツール。プロモーションビデオを作っていたとは知らなかった。2017.11にJMOOC/gaccoで提供開始予定。これを使って、自学自習するだけでなく、利用者向けの情報リテラシー教育の一部に位置づけるなどして欲しいとのこと。

お話する時間がなくて質問できなかったのは

  • JSTのオープンサイエンス方針に即してDMPの作成支援を始めている大学図書館は国内にあるんだろうか?
  • NII/大学図書館として組織的にJSPSに対してきちんとオープンサイエンス方針(まずはオープンアクセス方針だけでも;現状のようなのじゃなくて)を策定するように働きかけたほうが良いと思うんだけど、何かしているのかどうか?

という点。

新図書館への資料移設から見えてきたこと

西南学院大学・坂本さん。

  • 専任職員は7名のみ(他は嘱託・業務委託など)というけして恵まれているわけではない体制。私大は関連会社を作ってそこに業務委託をしていることが珍しくないけど、国立大学もそのうちそうなるんじゃないかとか思いながら聞いていた。
  • 2016.10ごろから移設と同時にシステムリプレイスを敢行したという(うちも同じっちゃあ同じだけど)。
  • 電子ブックを資産計上しているのは大変そうだなあ。PDAを実施したときの想定課題についてはうまく理解できなかったので、気になる。
  • 移設中にILL無料化を行ったが、完全閉館の時期(2〜3月)が授業期間を外したこともあって、予算内に収まったという。
  • 新図書館になって、入館者数が昨年同時期の1.5倍になったというのがすごい(初の5000人/日超えも達成)。なお、入館ゲートだけじゃなく、退館ゲートも導入していた。

学術情報のトレンドと最新情報

ベンダープレゼンタイム。例年は4〜5のベンダーから立て続けに勢い良くプレゼンが行われ、ちょっと疲れてしまうのだけど、今回は2+2に分割されていた。以下のメモはまとめて。

  • IOP:電子ブックのフォーマットについて、HTML、PDF、EPUB3に加えて、Kindle MOBIが加わる。
  • ProQuest:EBook CentralのMediated DDA(5分試読→必要なら図書館に購入リクエストを送信)について。Title Matching Serviceとして、冊子体蔵書のISBNのリストを遅ればEBook Centralに入っているかどうか1〜2週間で調べてくれるという。やってくれるのは有り難いけれど、EBook CentralのISBNリストを公開してくれていればこちらでExcelでも使って瞬殺のような気がした。
  • Wiley:電子ジャーナル。個別タイトルモデル(プライスキャップなし)、コアコレクションモデル(プライスキャップあり)に次いで、データベースモデル(例外なく全ジャーナルにアクセス可能、プライスキャップあり)というシンプルなモデルが出たという。On the Shoulders of Giants: The Growing Impact of Older Articles (Google Scholar)を引いて、バックファイルの需要について語っていた。
  • OUP:Nucleic Acids Researchが2005年にFull OAになってからIFが上がっているという(2006年6.317→2016年10.162)。OUPのジャーナルのCost Per Citationのグラフも面白かった。『博士と狂人』の映画版。

博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF)

博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF)

e-Port Update

サンメディア・前田さん、宍戸さん。

  • サンメディアのドキュメントデリバリーサービスの話。紙でも電子でも対応しているけど、そのフロントエンドサービスとしてARROWというのをリリースしたという。

日本の学術論文:世界に向けて発信力を強化するために

エダンズグループCEO・山下さん。一番面白かった。あとでお話したかったのに、お忙しいのだろうすでに帰られていた……。

  • よく名前はお見かけするし、グローバルに展開しているけど福岡創業(港のかもめ広場んところにビルがある)なので長らく身近に感じていた会社ではある。けれど、どんなサービスを展開しているのかその全体像を把握してなかったなあと気づく。
  • ちょうど昨日(7/27)、Author Pathという「リアルタイム、オンライン・コラボレーション執筆プラットフォーム」のプレスリリースを出した。要はOverleaf、Authorea、PubPub(これだけ知らなかったけど、MIT発らしい)に類するようなツール。ただ、エディタをオンラインに載せたサービスを作ったわけじゃなく、長年の著者向けサービスのノウハウを活かして、論文執筆の「ガイド」をするようなサービスになっているのが特徴だという。例として、論文のタイトルを入力しようとすると、まずはメソッドから書いてはどうかとメッセージが出るという機能が紹介されていた。また、他のサービスが欧米発である一方、Author Path/edanzはESL(English as Second Language)という立場に立っていることも大きい。これは注目したい。

www.author-path.com

ディスカバリーサービス事始め〜知っているようで意外と知らない ディスカバリーサービスの本当〜

サンメディア・馬淵さん、大和田さん。恒例の寸劇タイム。毎年ハラハラしながら見守っている。「さとしくんは外資に行っちゃったよ。いいね、外資」が面白すぎた。

内容的にはここ1年くらいにリリースされたSummonの新機能(Altmetric、bX、統計ツール、Open Access Filter、Syndetics Unboundなど)の紹介。統計ツールがOracle Business Intelligenceに変わって、ノーヒット、キーワード検索/ファセット検索の別、が分かるようになったのは良いね。見逃していたのでチェックしよう。

文教大学における、ディスカバリーサービスの導入事例

文教大学越谷図書館・常盤さん。一番かわいかった(プレゼンが)。勉強になるなる。とりあえずプレゼンで駆使されていたBUNKOちゃんのLINEスタンプを買った(先代ののじのじくんもかわいい)。


  • サービス担当としてガイダンスもやり、Summonも担当しているという。大変だろうけど、自分で導入に関わったシステムを、自らガイダンスで売り込んでいくというのは良いありかた、とうちとこのことを振り返った。
  • 2016.3まで越谷キャンパスと湘南キャンパスの図書館でそれぞれOPAC(図書館システム)を導入していたという。偶然にも同じベンダーだったというが、なんとも……(日大もキャンパスごとにOPACがあるけど、似たような感じなのだろうか)。2つのシステムを統一するときに浮いた予算でディスカバリーを入れた、って感じらしい。
  • Summonの主たるターゲットを「図書と論文の区別がつかない」層と「図書と論文の区別はつくけど、データベースの使い分けはできない」層に定めた。ただし、ガイダンスをしてみると前者にはSummonを説明しづらいとか。
  • 商品選定は7名のチームで行った。重視した点は、操作性・直観性、リンクリゾルバー・文献管理ツールとの連携、価格、コンテンツ、検索の精度、の5点。中でも前3つ。特に、ターゲットを意識して「操作性・直観性」。で、Summonに決定。
  • 文教Searchのアイコンはサンメディアが作ってくれたという(そんなことまでやってるのサンメディアさん……)。

そういえば文教大学さんはウェブサイトの色味がうちとこと似ていて、前から気になっていたのだった。。Summonの検索対象を★印で示しているのは良いアイディア。

f:id:kitone:20170728205416p:plain
https://www.bunkyo.ac.jp/faculty/lib/klib/

NII学術情報基盤オープンフォーラム2017 #SINET5

今年もNIIのオープンフォーラムに出張で参加してきた(3年連続かな)。

思うところはあらかたツイートしたけど、所感を簡単にまとめておきたい。(トゥギャれよ、と言われそうですが、私はTogetterにログインできない病にかかっており……誰か頼みます……。)

リポジトリトラック「学術機関リポジトリの最新動向 - オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)の取組み -」

http://www.nii.ac.jp/csi/openforum2017/track/day1_4.html

会場は昨年と同じ、250名も入る大部屋。そしてなんか犬がいた。

さすがに関係者なのでJPCOARの活動報告部分は新鮮味がまったくなかったりする(ので詳細は割愛します)。質疑で「オープンアクセス方針策定ガイドにはライセンスがついてないが自由に使っていいのか?」とあったのは、片手落ちで大変申し訳なく。。

JAIRO Cloudの話はノンユーザとして興味深く聞ける。今年夏にリリースされる予定のJAIRO Cloudの新機能のなかでは、

  • DOI付与条件チェック
  • DOI付与済アイテムの非公開化・削除防止
  • JAIRO Cloudで雑誌のカバー画像を登録・表示可能に

が気になった。

3点目については、昨年度リリースされたJAIRO Cloud→ERDB-JPの連携があるのだから、この画像のURLもERDB-JPに反映させて表示するところまでやってほしい。その際にはERDB-JPで採用しているKBART2拡張に当該要素を追加する必要があるだろう(ついでに姓しか入力できないfirst_authorという残念要素をなんとかしてほしい)。
https://erdb-jp.nii.ac.jp/ja/content/metadata_schema

ほか、東洋大学の後藤さんのプレゼンは、聞き手に向けたメッセージが明確に絞り込まれていて、元気で、さわやかだった。

JAIRO CloudのORCID対応に関する質疑も重要。

現時点では資料が公開されていないけど、片岡さんのプレゼンでは、これまであちこちで「CiNii for Data(仮)」と称されていたサービスの画面案が「CiNii Research」として紹介された。資料のうちこのページは公開されないとか……。

自分のプレゼンのメモ

メタデータスキーマ改訂の背景―なぜ新しいスキーマが必要なのか?―
http://www.nii.ac.jp/csi/openforum2017/track/pdf/20170607PM_R_07_hayashi.pdf

持ち時間は10分と短く、内容的にも完全に前座なので、ライトニングトークの気分で、勢いよく、早口で、メッセージだけを残すようなイメージで話すことにした(それが成功したかどうかは分からない)。5分で終わるかなと思ったけど、7分くらいだった。

文字起こしするとこんな感じ:

  • この後はメタデータの話が2つ続くので、前座としてふわっと聞いていただきたい。
  • 2005年のjunii2、2017年のJPCOAR Schema。12年経ってそろそろ改訂すべきだと思ってもらえるならそれでいい。
  • あるいは抽象的な基本方針を読んで納得していだけるようならそれでいい。
  • でも大半のひとは???ですよね。それはまずいと思っている。メタデータの入力で大切なのはビジョン。入力したデータが最終的にどうやって活用されるのかというイメージを共有することが、クオリティの高いデータの維持につながっていく。
  • その例として最近Unpaywallというブラウザ拡張機能がリリースされた。これをインストールして電子ジャーナルの論文を表示すると、そのOA版があるかどうかがアイコンで示される。Unpaywallの背後ではoaDOIというサービスが世界中のOAコンテンツを集めて整理している。
  • ここで大事なのはメタデータ、厳密なメタデータである。みなさんが入力したしっかりしたメタデータが、こういうふうにしてユーザの役に立ちうる。そのためにjunii2より厳密なJPCOAR Schemaを開発している。

コンテンツトラック「これからの学術情報システムは何を目指すのか : 所蔵目録から情報資源の発見とアクセスへ」

http://www.nii.ac.jp/csi/openforum2017/track/day2_6.html

これから(略)委員会の活動については、私自身は部外者ではあるけれど、公表されている報告書を読んでいればそんなに目新しい情報はない感じだった。
http://www.nii.ac.jp/content/korekara/2017/03/nacsis-catillnacsis-cat28.html

前日のリポジトリトラックで聞いたJAIRO Cloud→ERDB-JP連携機能は、JCだけが対象かと思いきや、北山さんのプレゼンを見ていたら単なるファイル渡しっぽいしどんなシステムでも対応できるんだろうなと気づく。これはやってみよう。

本トラックの個人的なハイライトはここ。LSPってそういうもんだし、まあそうなりますよねっていう感じではあるんですが、それをバーンと出しちゃうのがこのひとたちのすさまじさだなあと改めて。

f:id:kitone:20170617170923p:plainhttp://www.nii.ac.jp/csi/openforum2017/track/pdf/20170608PM_Cont_02_iino.pdf#page=51

あと、ぽろっと漏らしたこれが妙に……。


研究データトラック「研究データ管理のための新サービス提供に向けて」

残念ながら資料は公開されないらしく。
http://www.nii.ac.jp/csi/openforum2017/track/day2_5.html

今年4月に設立されたNIIのオープンサイエンス基盤研究センター。そこで現在開発中の研究データ管理基盤(Open Science Frameworkベース)・公開基盤(JAIRO Cloud for Data?)・検索基盤(CiNii Research?)について、参加者からフィードバックをもらいたい、という感じのイベントだった。

最初に込山先生から簡単なプレゼンがあり、あとはこんなプログラムでひたすらフロアとのディスカッション(自分もコメント役を仰せつかり……)。

  • 機関のニーズ(学術機関の情報基盤センターとの連携)
  • エンドユーザのニーズ(研究者からの要望)
  • 開発とデプロイ(情報システム関連企業との連携)
  • 自由テーマ(図書館との連携など)

この構成からも分かるように、主に情報基盤センターや研究者を対象にし、大学/研究図書館員は必ずしもメインターゲットではなかった。

ディスカッションで印象に残ってる発言は、

  • 研究者が学外へ異動した場合のアカウントの引き継ぎをどうするか。
  • 公開はリポジトリ=図書館、というのは本当に正しいんでしょうか。
  • ウェブからだけというのは使いづらいので、UIを増やしてほしい。
  • 誰がどうしたかという操作ログを残すようにしてほしい。
  • 事務や学生も使いたがるのではないか。
  • 機関とドメイン。データサイズが大きいときにどちらに置くのが適切なのか、悩んでいる。
  • 大容量ストレージが必要になった場合にJAIRO Cloudを従量課金制にするかという問題がある。

あたり。

特に機関とドメインの問題は本当に難しい。研究者のスタイルに即すのであればドメインという観点を主にするほうが良いんだろうけど、それで管理業務がうまく回っていくのかどうか……。

今後は、今年秋頃に第2回のクローズドαテストを開始する予定という。平成32年度の本格運用を目指して、開発・実証実験・試験運用を進めていくというスケジュールらしい。

自分のコメントのメモ

事前に、図書館の立場から管理基盤→公開基盤の連携などについてコメントしてほしいと依頼されていた。

困ったなぁ、何を話そうか……と

  • そもそも公開基盤側は具体的にどんな作業をすることになるのかが見えてないや。
  • システム側で研究データ公開のインセンティブをどう作るか。Web of ScienceのData Citation Indexへの収録、大学の研究者データベースとの連携(業績としての入力)、とか?
  • 図書館としては、手違いでデータが公開されてしまう、が怖い。論文はすでに公表されてるものだからダメージが少ないが、データはそうでもない。
  • 古典籍などのデジタル化画像(デジタル・ヒューマニティーズ)は研究データ管理基盤のスコープ?

というようなメモを作っていた。

込山先生のプレゼンや続くディスカッションを聞いていて、

  • DOIを登録する粒度はどうなるんだろう。OSFではプロジェクトという単位で研究データを管理するらしいが、そのうち一部のファイルをグルーピングして公開基盤(どこかの機関リポジトリ)に渡し、そのグループに対してDOIを振る、というのができるのかどうか。1プロジェクト=1 DOIというのは辛そう。
  • 複数機関の研究者が関わっているプロジェクトの場合、研究データをどの機関リポジトリで公開するのかという問題が起こる。研究データは文献と違ってデータサイズが大きくなるので、複数の機関リポジトリで重複して公開するのはストレージの無駄になるので、なんらかのポリシーを決める必要があるか(例えばOpenAIREではファンドを受けたP.I.が所属機関のリポジトリに登録するというガイドラインになっているらしい)。しかし、そうなると、公開先として選ばれなかった他の機関リポジトリと大学業績データベースの連携が難しくなるか……公開先として選ばれた機関リポジトリ→ORCID→プロジェクト関係者の大学の業績データベース、と流していくのが無難か。

というあたりが気になってきた。

で、結局こんな感じのことを発言した。


余談

東京に行くときはいろいろ組み合わさることが多いですが、今回は

  • 6/6(火):移動日
  • 6/7(水):メタデータな打ち合わせ、リポジトリトラックで登壇
  • 6/8(木):コンテンツトラック、研究データトラックを聴講
  • 6/9(金):京都へ移動、カレントアウェアネス編集企画会議@NDL関西館

という旅程だった。

昨年のオープンフォーラムは最終日に羽田空港大韓航空の事故があってわちゃわちゃしたのを思い出す。今年は3種類の用務に3者のスポンサーが組み合わさる出張なので行くまでの調整にえらく手間取った。。

木曜日は手頃なホテルが予約できず、東銀座駅上にあるTHE PRIME POD銀座に泊まってみた。最近増えてる、こじゃれたカプセルホテル。オスプレーをパンパンにした女性とか、外国人バックパッカーが多かった。しかし、このロケーションで3800円というのはすさまじい。ドライヤーがシャワールームのなかにあるので髪を乾かすときにちょっと暑い、以外にさしたる不満はなかった(そりゃ洗面台でやったらうるさいから仕方ないんだけろうけど。でもファーストキャビンはバスルームエリアがゾーニングされてたっけな)。ねぼすけの自分には、他のひとのアラームとそれまた他のひとの舌打ちとで自然と目が覚めるシステムは悪くない。

火曜日は移動日ってことで、ぐすたふ珈琲→SyuRo→蕪木と巡ってきた。SyuRoのおねーさんに薦められたままに入った蕪木はすてきな空間だった。。某お菓子会社出身のマスターが淹れてくれた、たしかにバナナのようになめらかな舌ざわりのホットチョコレートにニマニマした。

過去の記録