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韓国大学図書館におけるサブジェクトライブラリアンの人事

大谷周平, 和田省子. 韓国の大学図書館における学習環境とサブジェクトライブラリアン. 大学図書館研究. 2012.12, 96, p. 23-32.

1年半くらいまえに韓国へ行ってきた id:otani0083 の報告が出ました.入稿前にレビューしたこともあって抜刷をいただき,再読.ついでに博多なお菓子ももらってしまったのでちょっと紹介してみます.

彼らは,タイトルにあるように学習環境とサブジェクトライブラリアンという2本のテーマを立てて,延世大学校高麗大学校ソウル大学校,成均館大学校,明知大学校というトップクラスの大規模大学[*1]を訪問調査してきました.うち,ソウル大学校のみ国立大学です.

報告の前半は学習環境,後半はサブジェクトライブラリアンという読みやすい構成になっています.

改めて読んでいて興味深く感じたのはサブジェクトライブラリアンの人事のありかたです.上記5大学のうち明知大学校以外はサブジェクトライブラリアン制度を導入しており,本文から人事関係の記述を抜き出して表にするとこんなふうになります[*2].

人数 採用 異動
延世大学校 11名 7名新規採用(年齢制限なし,当該分野の修士以上)+5名はレファレンス担当から任命.1名退職済み 異動しない(そもそも他の職員も異動はまれ)
高麗大学校 9名 在籍する図書館員から任命 異動しない(システム担当や貴重資料担当は異動なし.その他は2〜3年で異動)
ソウル大学校 8名 1名は国立大学採用試験とは別途採用(修士以上) 2〜3年で異動(他の職員も同様)
成均館大学校 9名 在籍する図書館員から任命(修士以上を優先.非所持者も) 異動しない(他の職員は約3年で異動)

報告では,

延世大は一般の図書館員も含めて人事異動が基本的に行われないという形態であり,日本の国立大学の一般的な人事制度とは大きく異なる。しかし,その他の大学は日本の国立大学と同様に2〜3年での人事異動を基盤としていた。その中で,ソウル大の例を除けば,SL(引用者注:サブジェクトライブラリアン)を例外的にその職務に固定するといった形で導入しており,日本においても導入の参考になるのではないかと考える。いずれも導入後さほど年数が経過していないためか,SL制度の正式な評価には至っておらず,今後なんらかの形で可視化されることを期待する。

とまとめています.

サブジェクトライブラリアンに注目することで,その他の職員の人事異動についても光が当たっていますね.異動させる/させないについてどうこうと言いたいのではなく,けっこうまちまちなんだなぁというのが素直に面白かったです.他の大学に揃えるんじゃなく,自分たちの事情にあわせて制度を作ってるように見えるところが,なんか安心したというか.


*1:ソウル大,高麗大,延世大はそれぞれのイニシャルをとって“SKY”と呼ばれているという.

*2:表中のデータは訪問時=2011年9月のものです.