読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Innovative Interfaces社が新ディスカバリーサービス“Encore ES”を発表―その新しさはどこにあるのか

図書館 図書館システム

http://www.iii.com/news/pr_display.php?id=574

2013年6月28日に,Innovative Interfaces社[*1]が新しいディスカバリーサービス“Encore ES”を発表しました.



Encore ESの特徴として,まずは,EBSCO社のウェブスケールディスカバリーサービス“EBSCO Discovery Service(EDS)”との連携,OverDrive社および3M社電子書籍サービスとの連携が二本柱が挙げられています.前者はEncore Synergy時代からの連携で,APIを利用してEDSのセントラルインデクスが検索できるというもの.後者は,(おそらく両サービスのAPIを利用して)Encore ESから電子書籍の検索・貸出・予約が行えるというものです.

でもそれって名称を変えるほどのこと……? と正直よく分からなかったので過去の経緯を振り返ってみました.



Innovative Interfaces社の提供する検索サービスには,“Encore”(2007年)と“Encore Synergy”(2010年)がありますが,Encore ESはこのラインに連なるものとなります.Encoreは以前ニューヨーク公共図書館でも導入されていた[*2]次世代OPACです.それに論文レベルのメタデータの検索機能を追加したものがEncore Synergyという理解で良いのかな.見た目は変わんないはず.

ディスカバリーサービスについては国内導入事例のリストをちまちま更新していますが,Encoreの導入事例は見当たりません.同社の図書館システムを使っている早稲田大学でも,導入していないようです.

これまでにEncoreシリーズは以下のような発展を重ねてきています.

Encoreはバージョン5.0でソーシャルな機能をうんぬんと発表されているけど,リリースされているのは4.2が最新ということで良いのでしょうか.よく分からないぞーと調べていたら,EncoreおよびEncore Synergyに関するなんともマニアックなガイドを見つけてしまいました.導入館をリストアップして,バージョン4.2と4.1の内訳を調べ,適用しているスキン(デザイン)や論文の検索結果の表示位置ごとに分類して,と…….このガイド,力作すぎる.



日本でディスカバリーサービスというとSerials Solutions社のSummon,EBSCO社のEBSCO Discovery Services,Ex Libris社のPrimo (Central)が有名ですが,Encore Synergyはこれらとはちょっと毛色が違って,いわゆるセントラルインデクスというやつを持たないようなのです.

CA1772で飯野さんは「商用データベース等のデータについて、事前に取得してのインデキシングは行なわない。検索時にはXMLを利用した、リアルタイムでの同期を行う。」と紹介しています.

自分はむかしこのように書きました.

ディスカバリ・インタフェースの市場にはEx Libris社のPrimo Central,EBSCO社のEBSCO Discovery Service,OCLCのWorldCat Local,Serials Solutions社のSummonといった製品が存在する。ベンダは,図書館が契約している電子情報を検索可能コンテンツ(検索インデクス)に含めるために,それぞれ出版社等と提携してコンテンツの増加に力を入れているという。結果,ベンダ間の競争は激しくなり,例えばEBSCO社はEBSCOhostのコンテンツをEx Libris社のPrimo Centralへ提供することを中止した。一方,Innovative Interfaces社はこのようなインデクス競争の流れに逆らい,コンテンツプロバイダのAPIを利用して検索するEncore Synergyという製品をリリースしている。


http://current.ndl.go.jp/e1169

また,Marshall BreedingさんはEncore Synergyについて次のように解説しています.

Encore Synergy follows a search model that blends articles with the results from the local collection on the initial page of results and that guides users to more complete representations of the library's collection of articles as they navigate through results. When the user enters a query into Encore's distinctive single search box, it delivers a result list ranked by relevancy according to Innovative's proprietary Right Results algorithm. With Encore Synergy, a block of three or four citations selected from the libraries' article resources appear strategically positioned near the top of the results list. A linked label for the article block mentions the total number of articles associated with the query and links the user to the full article results. Innovative describes this search model as similar to the way that Google deals with news articles. For most topics, a sample of news stories appears on the initial search page that when clicked leads to the complete results from the specialized Google News search.


http://newsbreaks.infotoday.com/NewsBreaks/Encore-Synergy-Launched-for-Article-Discovery-A-New-Search-Model-66962.asp

画面で見たほうが早いでしょうか.実際,Encore Synergyの検索結果は以下のようになります.“Top results for articles”として,こんなふうに論文の検索結果が少しだけ途中で挿入されるわけです.赤線枠の下はまた論文以外のコンテンツが並んでいます.

f:id:kitone:20130630032722p:plain

Ex. http://encore.andrews.edu/iii/encore/search/C__Stopology__Orightresult__U1?lang=eng&suite=cobalt





さて,やっとEncore ESのはなしに戻れます.冒頭のプレスリリースでは,EDS・3M・OverDriveとの連携に続き,

With a single relevance-ranked set of articles, eResources, eBooks, and print materials, plus harvested digital repositories, users will discover the best from all types of content on the very first page.

としています.これは素直に読むと,論文も電子書籍も冊子体資料もまとめてランキングして表示するということでしょう.となると,上記のようなEncore Synergyの“差し込む”モデルとは異なるものになるんだろう,そしてそれが今回発表されたEncore ESの最大の特徴だろうと考えることができます.セントラルインデクスを持たないまま,このランキングを実現しているのかなぁ.

とはいえスクリーンショットかなにか見せてもらわないといまいち自信が持てないわけですが.開催中のALA年次大会でデモをしているらしいのでそのうち情報が出るかしら.


*1:c.f., http://otani0083.hatenablog.com/entry/2013/05/27/073000

*2:現在はBiblioCommonsに乗り換え.