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アイスブレイクのデザイン( #NIIウェブ研修 )

イベント

の続き的なおはなし.

今週,とある研修ファシリテーターを務めてきました.ここではその経験のなかでもアイスブレイクの設計について書きたいと思います.



今回の研修の受講者は30名弱.4〜5名ずつ6グループに分かれ,それぞれのグループには我々ファシリテーターがつきます.僕の担当したグループは女性5人で,(自分も含めて)全員初対面でした.

研修初日の午後イチでは30分のアイスブレイクの時間が設けられていました.3日間のワークショップを活発に,楽しく進めるために行われるものです.午前中はひたすら講義を聞き,午後イチでさて,という段階になります.アイスブレイクの時間までには,近くの席に座ったメンバーと名刺交換くらいはしつつ,でもそれほど言葉を交わしてはいないという状態だったと思います.



アイスブレイクの方法はファシリテーターの裁量に任されていました.6月に行われた事前ガイダンスでそのように指示があり,ぼんやりと,何をやろうかなあ,せっかくだから勉強してみようと思って買ったのがこの本です.

アイスブレイク入門

アイスブレイク入門

アイスブレイクをタイトルに冠した本をAmazon.co.jpで検索して,そういえばこれ id:haseharu がむかしおすすめしてたなぁと購入を決めました.同書によると「アイスブレイクは他人との出会いを演出する技術である」.そして,初対面のひとだけじゃなく,知っている人とも出会い直すことができるという.そんなアイスブレイクを実施する側の心得などを述べつつ,「チェーン術」「ペア術」「グループワーク術」の3つに分けて具体的なアイスブレイクの方法が紹介されていました.

ただ,それらをそのままパクったのではなく,大切なのはこういうことなんだろうなというのを理解して自分なりに作ってみました.



アイスブレイクの本質はおおきく

  • 自分をさらけだす
  • まわりのひとに興味を持つ

のふたつだろうと理解しました.

加えて,今回の研修でポイントとなる動作(アクション)についての練習を含められるとベターだと考えました.アクションというのは例えば,声を出すとか,字を書くとか,モノマネをしてみるとか,そういうの.最初はどうしてもみんな緊張していてカチコチに堅くなっています.そんな殻を破るようなことができればいいかなと.



以上を踏まえて,今回は

  1. 自己紹介をする(10分弱)
    • 各自1分で話すネタを考えて,1分ずつで順番にまわす(話す時間はタイマーかけず)
    • 自分たちのグループのお題「電子書籍」を意識して,各自電子書籍体験についても含めるという縛りをひとつ
  2. 他人に質問する(20分強)
    • 各自3分で隣に座ったひとのことを考え/想像し/観察して,聞いてみたいことを決める
    • 受講者事前アンケート(配布資料)を参考資料にしてもいいよ,と案内した

という2ステップのアイスブレイクを行いました.

こうして書いてみて,いろいろ考えたわりに改めてふつーだなと感じます.ただ,予想以上に盛り上がってくれて良かった.みなさん口のすべりが良くなったと思います.



研修前はラフスケッチ的に作っておいて,当日会場でグループのメンバーの様子を見ながら若干アジャストしました.事前にアイスブレイクをデザインする際には以下のことに注意していました.

ひとつは自己紹介と他人への質問は同時にはしないということ.自己紹介の時間って,どうしても自己紹介に集中しがちですよね.自分は何を話そうかなと緊張しちゃって,他の人の話を十分に聞けないことが多いです.っていうか僕はそうなんです.この本にも同じ指摘がされていました.それでは2つ目のポイントのねらいが十分に満たせないので,このターンではあくまで自己紹介に徹するようにしました.時間も1分間と短く切って,ここはあくまで助走と位置づける(自己紹介というエッセンスはステップ2にもあるのでOK).とりあえず喋ってみる,声を出してみるという練習です.自己紹介はもちろんファシリテーターの自分からまわしました.名前と現所属・前所属を言って,服の話でもしたらそれで1分です.

ふたつめは他人のことを考える時間をしっかり作ること.グループに人がたくさんいても,短時間でつながれるのはひとりくらいだから,ペアをつくることが重要というのは冒頭の本にも書いてありました.まあそうだろうと思います.そんなにいっぺんに覚えられるかっ.ので,まずは隣の席のひとのことをよく知ってみようと.それも隣の人のはなしを受動的に聞くのではなく,能動的に相手のことを考え,想像し,興味を持ち,聞いてみたいことを見つけよう,という時間にしました.ここが今回のアイスブレイクでいちばん大切なところなので5分と長めの時間を取りました(実際にはもう大丈夫という声があったので3分で切り上げました).事前の想像では,隣の席のひとをじーっと見つめて(その人は,そのまた隣の人のことをじーっと見ているので目は合わない)というのを想像していたんですが,事前アンケートを読んでることが多くなっちゃいましたね.そこは,参考情報源の提示が強い誘導になってしまったかなと反省.他人から質問を受けることの何が良いかというと,どんな質問が来るか分からないから,答えるという点には意識を向けても意味がなく,その時間は質問を考えることに集中できることです.また,他人からの想定外の質問にちゃんと答えることで自然と殻を破る,自分をさらけ出せるのではというねらいを含めています.このターンは僕の真正面のひとからまわしました.回答の時間ではみんな,自己紹介のときよりも口なめらかに,時間大丈夫かな……と心配になるくらいに喋ってくれました(特にタイマーはセットしてません.時計はチラ見してましたが).そこは良かった.ただ,事前アンケートに引きずられて前半は仕事の質問ばかりになってしまったのはちょっと想定外(悪いと言っているわけじゃないですよ.もっとゆるい感じをイメージしていたということです).ちなみに僕は「(自己紹介でジャンプの話が出たので)ジャンプでいちばんおもしろい漫画はなんですか?」という質問を.使わなかったけど「そのシュシュかわいいですね.何個くらい持ってるんですか? 一番好きなのはどういうの?」といったものも想定していました.なお,余った時間に「最近買ったいちばんお気に入りのシャツはなんですか?」という質問を受けました.

事前に用意しておいたアイディアのうち,不採用にしたものもあります.ワークショップではたくさん「書く」というのが重要で,場合によっては寸劇形式で発表をすることになります.その手のアクションの練習をアイスブレイクに取り入れるため,他人への質問をスケッチブックに書いてみるとか,マジックペンをマイクに見立ててインタビュワーになりきって質問を行ってみるとか,そういうのもちょっと考えていました.でもメンバーの顔を見て,そこまでしなくてもいいか,とやや安全側(無難側)に倒しました.うちのグループは僕以外全員女性で,(おそらく)年も近い.均質的な構成でした.また,ここはかなりポイントだと思うのですが,一般的なシチュエーションとは違って全員が大学図書館員なんですよね.その状況ではさほど思い切ったアイスブレイクは必要ないかな,と判断しました.いきなり無茶をして3日間を駄目にするくらいなら,無難なもので終わらせたほうがマシという計算もあります.……このへんはやっぱりメンバーの顔を見ないとふんぎりがつかなかったですね.



なお,アイスブレイクの前に(つまり午前中に)メンバーの名前を全部頭に叩き込んでおきました.お金もらってるからほんとそのくらいはやらないと…….

大学図書館のワークショップ型研修で30分もアイスブレイクの時間があることは珍しいと思いますが,突飛に感じられるものではなく,わりと使い回しのできるパターンが作れた(繰り返しますが,そんなに大したことはしてません)かなと思っています.