参加メモ「ディスカバリーサービスにおける日本語コンテンツをどう利用するか―教育からの視点を中心に」

岐阜県図書館・岐阜大学図書館研修会の前日,直前でしたがネタ収集の意味も込めて参加してきました(出張).自分にとって面白かったところだけメモしておきます.

  • 2013私立大学図書館協会西地区部会京都地区協議会第2回研究会「ディスカバリーサービスにおける日本語コンテンツをどう利用するか―教育からの視点を中心に」
  • 日時:2013年11月7日(木)13:00〜17:00
  • 会場:佛教大学
  • プログラム
    • 湯浅俊彦(立命館大学教授)「大学図書館におけるディスカバリーサービスと日本語コンテンツの課題」
    • 石田亮(佛教大学文学研究科東洋史学専攻)「ディスカバリーサービスの日本語コンテンツを実際に利用して」
    • パネルディスカッション

http://www.jaspul.org/w-kyogikai/kyoto/collegium/asset/docs/2013kenkyu2_info.pdf

会場は私立大学図書館の方が大半でしたが,サンメディアさん,EBSCOさん,紀伊國屋さんなどベンダーの方もちらほらと.国立大学で知ってる方は見なかったかな.

お土産にマールブランシュ(京都北山にそういうお菓子屋さんがあるんです)のクッキーがついていたのにびびりました.私大……! なお,全部ひとりで食べました(すみません).

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湯浅先生(1時間)

湯浅先生がディスカバリーサービスってどんな話をされるのだろうと興味津々でしたがいつもの湯浅先生でメインは電子書籍の話でした.このお題でMALUI連携まで飛び火するとはw でも久しぶりにお話を伺って面白かったですよ.

具体的なレポート課題を2つ例示して,こういったものをディスカバリーサービスで検索すると(全文検索のおかげで)電子書籍を含めていろいろとヒットしてありがたいんだけど,日本語学術書についてはデジタル化が遅れている……,というストーリーでした.立命館大学は例の電子学術書合同実験に参加していますね.

メモしておきたいのは

  • 2014年4月に立命館大学でデジタルアーカイブを対象とする大学院「文化情報学専修」が開設される
  • 立命館大学図書館には「54の言語で97カ国から2200以上の新聞」をディスプレイで読むシステムを提供しているらしい(ライブラリープレスとかいう名前だった).記事本文をメールで送信することもできるとか.
  • 湯浅ゼミで慶應義塾大学などへ調査旅行して,学生同士でどのように電子教科書を使っているかを意見交換したり.
  • OverDriveのサービスが日本に入ってくる可能性.

あたり.




石田さん(30分)

続いて東洋史専攻のM2の石田さんが「お気軽検索」(Summon)の使用感について,学部生(学習.レポート)と大学院生(研究)というふたつの立場から語ってくれました.

学部生編については,「ただ単位が欲しいだけ」「極力、本は読みたくない」「引用は多くしたい」という学部生を念頭において,ジャパンナレッジとお気軽検索を使えばそれなりのレポートが書けるんだ,というようなお話でした.「南京国民政府時期の教育について述べなさい」というレポート課題を例として挙げ,ジャパンナレッジでざっくり用語や時代的背景を押さえたうえで,お気軽検索(Googleよりも格段にヒット数が少ない)を使って見つけた文献をいくつか読み,レポートを書き上げるという流れ.

特に面白かったのは資料のページ数についての言及です.お気軽検索(Summon)の検索結果一覧画面では各資料についてページ数が表示されており,長い文章はなるべく読みたくない人にとってとても便利だという.自分だけじゃなく,湯浅先生も含めて多くの方が興味を惹かれていたようです.前々からディスカバリーサービスのファセット検索やソート機能でページという情報を使うと良いんじゃないかと考えていたのですが,ちょっと自信を持ちました.

本を読むのはめんどくさいし,なるべく楽にレポートを書きたい.そんな気持ちは否定できないですよね.自分たちだって(仕事をしていて)そうだろうと思います.そんな学生がそれっぽいレポートを書くための手助けをでき,少し(ずつ)でも成長してもらえるようなサービスが必要な(コンテキストがある)んじゃないか.そんなふうに思いました.コピペレポートと,文句なしに優の取れるレポートの,あいだ.ふまじめな学生のためのディスカバリーサービスという感じ.この視点は忘れずに持っておきたいです.




パネルディスカッション(1時間半)

湯浅先生と石田さんに加えて,以下のお三方が登壇.

  • 太田仁さん(福井大学附属図書館学務部学術情報課長)
  • 田中政司さん(ネットアドバンスビジネスセンターゼネラルマネージャー)
  • 飯野勝則さん(佛教大学附属図書館専門員)

福井大学はEBSCO Discovery Serviceを導入していますが,なかなかお話が聞けないので興味深かったです.導入の発端は,自己点検報告書で電子ジャーナルの利用が低いという評価になり,利用を増加させるためだったそうです.ディスカバリーサービスに力を入れた講習会も行っているんだとか.

飯野さんの「ディスカバリーサービスは見つけたコンテンツをもとに新しい『発見』をするんだという意味だと思う」という発言も心に残りました.





簡単ですが,以上です.