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メモ:「名古屋大学における学術情報基盤の見直しについて」

電子リソース

図書館雑誌』2014年12月号に、名古屋大学附属図書館がElsevierの電子ジャーナルパッケージ契約(いわゆるビッグディール)を中止した件についての報告が掲載されていた[*1]。
http://info.nul.nagoya-u.ac.jp/news/denshi/2013/140228

自分の知るかぎり、公のものとしては初だと思う(当文献は何も参考文献を挙げていない)。2ページと短い記事だが、関心のあるテーマなのでありがたく読んだ。興味深いのはアンケートにおける教員と大学院生の温度差。


以下、原記事の見出しに沿って簡単なメモを。

1. 電子ジャーナルをめぐる国内外の動向

  • 言わずと知れたパッケージ契約の功罪について。

2. 名古屋大学における対応

  • 電子ジャーナル契約額の3/4が部局負担。価格上昇は部局の負担になり、以前より一部部局からパッケージ見直しの声が。
  • 2014年契約の検討の際、大学本部執行部に共通経費による支援を求めた。
  • が「広く平等に研究環境基盤を提供する電子ジャーナル維持施策より若手研究者の雇用を促進する施策等を優先したいとの経営判断から一部パッケージ契約を解体して抑制するよう指示があり、全学の部局長会でも審議了承された」。
  • 契約変更で、2014年度のElsevier契約額を前年度から約2割削減できた。

3. 契約変更前後の利用者の反応

  • 契約変更前後(2014年2月、6月)に学内利用者を対象にWebアンケートを実施。
  • 有効回答数はそれぞれ609件、622件。いずれも約6割が教員、約3割が大学院生。文系部局が15%、理・医系が60%。
  • 電子ジャーナル環境への満足度は契約変更後に減っているものの、全体の2/3は「とても満足」または「ある程度満足」。
  • 契約変更後の4か月間で、ILL複写依頼件数の11%がElsevierのジャーナルを占める。
  • ILLやPPVなどを使わずに諦める利用者が「最も多かった」[*2]。
  • パッケージ契約の復活を求める大学院生は1/2ちょい、教員は「1/3に留まった」。
  • 自由記述欄には「たかが数億の値上がりでジャーナルを減らすことはあり得ない」(大学院生)、「パッケージ契約だと膨大な費用が掛かることは理解できる」(教員)の声。
  • 「節減した経費で必要な雑誌・電子ジャーナル等が購入できる」などの「ポジティブな効果を、利用者は見いだせないでいる」。

4. 今後の学術情報基盤の在り方

  • 文部科学省「大学等におけるジャーナル環境の整備と我が国のジャーナルの発信力強化の在り方について」
  • 「パッケージ契約の変更に対しては、学内の批判はあるが、一方で十分な理解もあった。」




あわせてどうぞ。

*1:執筆者の萩さんというのは、カーリル吉本さんと対談しているこの方ですね? http://www.nul.nagoya-u.ac.jp/koho/kanto/newsletter13.pdf

*2:質問文が書いてないので想像するしかないが「電子ジャーナルで閲覧できなかったときにどうしますか?」と尋ねたのだろうか。パッケージ契約を中止したあとのサポートが重要だと思うので、ここは詳しく知りたいところ。