カレントアウェアネス-E No.278感想

昨年度最終号。4本すべて外部原稿。



■E1660■ あやかりの杜図書館 冬の特別企画「夜の図書館」

沖縄県北中城村にあるあやかりの杜図書館の「夜の図書館」企画の報告。執筆者は同館の與那原さん。

むかし中城城跡は行ったことある。その少し北にあるんだ。地図で見てみると、沖縄自動車道を挟んで向かいには米軍基地があるような環境らしい。で、企画はこんな雰囲気。

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写真出典:夜景と読書、満喫 「夜の図書館」今月中の金曜夜開館 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

通常の図書館業務終了後の20時に主要灯をおとした状態で窓側のデスクライトのみを点灯し,夜景とともに読書ができる場所を確保した。本を探す際は,懐中電灯を持って静かに移動する楽しみもある。またプロジェクターを使用し,所蔵する映像資料等を大窓一面のブラインドへ投影した上映会や,BGMにJAZZやボサノヴァ等の音声資料を流すなど図書館が所蔵する資料の紹介を兼ねて,大人の雰囲気を意識した空間づくりを心掛けた。

映像や音声、キャンドルライトを添えるなど、いろいろとすてき。好評な声ばかりでクレームがなかったというのは通常の開館時間内に行うのではなく、特別に延長して行ったことがポイントなのかなと思った。

図書館は,生涯学習・宿泊機能を有した滞在交流室やキャンプ場等との複合施設であり,施設運営時間の22時まで職員が勤務していた。「夜の図書館」では,この特性を活かし,図書館の職員配置数を増やすことなく,22時まで開館時間を延長し,閲覧のみのサービスを行った。

指定管理でもそのあたり柔軟にできるのかな、課題はなかったのかな、というところがもうちょっと知りたかった。

(カレント-Eで参考文献がひとつもないのは初めて見た。)



■E1661■ 諸外国の国立図書館におけるセルフ撮影サービスの導入動向

複写課の奥村さん。ご自身で行った調査の報告。

また,近年,新たに閲覧室でのデジタルカメラの使用を認める国立図書館が増えている。ドイツ国立図書館(DNB)は,2014年10月に利用規則を改正し,閲覧室でのデジタルカメラの使用を認めることとした。英国図書館(BL)でも同様の動きがあり,2015年1月から,段階的に閲覧室でのデジタルカメラの使用を認める決定を行った。スコットランド国立図書館(NLS)は,同様のサービスについて試験的な実施を検討している。

自分でも過去に検討したことがあるテーマなので、記事内容はオーソドックスなものだと感じた。むしろNDL職員がこういうテーマで海外調査を行っている事実のほうが大きい。

著作権調査や手続きなどのオーバーヘッドが大きくなりすぎると利用者にとってかえって不便になるし、職員サイドも面倒くさくて運用が負担になる。とはいえゆるいルールを厳格化するのはうまくないし、まずはある程度キツめなルールで開始して、徐々にゆるめていくのがいいんだろう。いちばん問題なのは撮影後にどっかへデータを流出されることで、そこだけはきちんとしたいと思っている。デジカメで撮ったって、紙でコピーしてスキャンしたって、デジタルデータになるという点では同じなんだから、デジカメのほうだけ厳しくしてもあんまり意味はないのかもしれないけど。

撮影音を気にするなら一眼レフは使いづらいが、それに対して不満は出ないのだろうか。

# 自分は図書館でコピーした資料はスキャンして紙は読了後に捨てます。面倒くさいので最初からデジタルにしてほしいと思う。



■E1662■ オンライン資料の納本制度の現在(2)スウェーデン

収集・書誌調整課の間柴さん。

スウェーデン。2015年1月から「電子資料の法定納本に関する法律」が(約2年半の試行を経て)施行。eデポのようにDRMの有無や有償無償の別は問わないようだ。音楽や映像も入るというのも大きな違いか。

単体で見ててもよく分からないのでこのシリーズがある程度まとまったら比較表にしてほしい。。



■E1663■ NDLのウェブページを使い尽くそうアイデアソン<報告>

NDLオープンデータ・ワークショップ事務局。

インターナショナルオープンデータデイ2015の一環で行われたもの。NDLが〜ソンなるイベントをやるのは初めてではないかな。5月のじんもんこんの会場がNDLになっていたけど、こういうのいいですね。しかし今更ながらタイトルは「NDLのウェブページ」だったのか。データとかウェブサービスとかじゃなく。ちょっと違和感。

なお、id:haseharu が参加していて、彼の「デジコレエクステンション with Taggy Bank」も紹介されたらしい。(そして記事の参考文献に haseharu.org が入っているw)

まとまったアイディアのなかでは、地味だけど「レファレンス協同データベースと国立国会図書館サーチのリンク付け等による,レファレンス協同データベースの利活用促進」がいちばん気になった。レファ協のデータというのはある本の使い方や有用性を示すもの(Amazonのレビューとかと同じ)であると思っているので、書誌データベースの検索結果からレファ協にリンクするのは実現すべきアイディアだと思う。

個人的には、CiNii Books→NDLデジタルコレクションへのアイテム単位のリンクをやりたいわけです。(なんか進めてるという話を聞いたことがあるようなないような。



次号は4月9日。でもこれで編集部の体制も大きく変わるし、2年間続けたこの感想も今回で一区切りするかもしれません。