北海道の図書館員勉強会でおはなししてきました

2015年9月3日に北海道大学附属図書館で開催された「北海道の大学図書館職員を中心とした有志による自主的な勉強会」で「穴」のおはなしをしてきました。

テーマは「Catch & Share Information」ということで、情報収集と情報発信。当初は3人くらいが登壇するという想定だったはずが、最終的にはわたし1人に……。参加者は北大だけなのかと思いきや小樽商科大学藤女子大学(学校司書の方)の方も含め、全部で21名。Google Hangoutでお茶大の森さんもご参加という。
https://sites.google.com/site/since20141203/home/10

恒例のポスターもすてきに作っていただいて(どことなくスターライトパレード by セカオワ)。ありがとうございます。

f:id:kitone:20150906175702j:plain


プレゼン

私のプレゼンスライドはこんな感じです。

このネタでこれまで少なくとも5本以上はプレゼンや執筆をしてきているので、いつもの話といえばいつもの話です。自分にとってはほんんんんんとに新鮮味がなくて、プレゼンを作りながら正直いまさら何をお話したらいいのかさっぱり分からんなーと苦しみました。多少なりとも新しさを入れないと自分が飽きるし、コストをかけて準備しても結果的に何も積み上がらなくて自己嫌悪に陥ることは目に見えてるし。

最終的に、今回はメインのメッセージを「無理なくコツコツと情報収集を行って、見つけた『穴』を気負いのない情報発信で埋めていこう」として、ややウェットにしゃべることにしました。自分が情報収集しているという事実とその内容をみんなに分かるよう可視化することがとにかく大切で、はてなブックマークおすすめですよ、というのがセカンドメッセージです。

なかにはブログを続けるコツなんていう初めて言語化してみたネタも入れてますけど、やっぱりいつもの話になりましたねえという感じ。この数年来の変化のなさというか、ルーティン化しきった安定感が自分のいちばんの持ち味なのでいっそ開き直っていいのかもしれませんが……。ちなみに、この「穴」という単語は、たしか若手の時分に「自分のテーマはなんだろう」と悩んでいたころ、@sabarya ねえさんから「穴を埋めていけばええねん」というようなことを言われた思い出から来ています。

ということなので @shibure さんはやっぱり同病ですね()。

プレゼンのタイトルに「仮」をつけたままにしたのは、たぶんこの路線はもうちょっと突き詰めて考えておいたほうがいいなあと思えてきたからです。

この機会に自分のメソッドを見つめなおしてみたものの、やっぱりFacebookTwitterは情報収集ツールのメインとしては使いづらい(あるいは使いこなしていない)と改めて感じました。FacebookTwitterだけを見ているのならいいんですが、他のツールを併用しているとどうしてもエフォートの重複が生まれて無駄の多いポートフォリオになってしまう(冗長性として許容できるレベルの無駄ならいいんだけど)。うまく活用できているひとの話を聞いてみたいところです。。最近、ちょっとRight Relevanceには注目してるんですけどね。

なお、ちょうど某雑誌9月号(情報収集特集)からもリクエストをいただいて原稿を書きました。今回のプレゼンの情報収集パートとほぼ同内容になりますが、トーンは記事のほうがドライです(特集全体のなかでのポジションを勝手に想像してそうしました)。他の執筆者である有名人の御三方が書かれる内容を楽しみにしています。


アクティビティ

当日は私のプレゼンのあと、全員参加のアクティビティ(グループワーク?)を行いました。

  1. 参加者に(経験年数に応じて)A〜Cのネームタグを配布
  2. A、B、Cの3人で1組を作る
  3. 事前課題の内容についてお互いに質問を行う
  4. 同じ記号の3人で1組を作る
  5. 3と同じ

というものです。「経験年数に応じて」というのがうまい(私は若手のAでしたがいいのかw)。

こぢんまりとした勉強会といってもどうしても参加者の大半が受け身になりがちなので、こういうのいいですよね。

事前課題(後述の事前アンケートとは別)ではふだんの情報収集の方法やその理由などについて聞かれていて、当日は全員分の回答が配布されていました。その結果はとても興味深くて、可能なら(匿名化でもして)公開していただけるとみんなの参考になるんじゃないかなあ。→【2015/9/8追記】公開されました!
https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxzaW5jZTIwMTQxMjAzfGd4OjI4YTdlYmNhYTNjM2UyOTk


気付き

他の参加者の方法を読んで、情報収集の話って、まずは「情報」の対象をはっきりさせないといけないのだと改めて痛感しました。そして対象を定めることはすなわち「自分のテーマ」をはっきりさせるということであって、じつは一番難しいことなのかもしれません。これが今回のイベントでの最大の気付きだったと思ってます。

情報というと、カレントアウェアネスの経験から自分はどうしてもエクスキューズなしに「ウェブ上の最新ニュース」について話しがちですが、仕事で重宝する情報はそれにとどまらないわけです。ドライな情報を得て自分の頭で考えたいひともいれば、誰かのアノテーションを求めているひともいる。要はいろんなスタンスのメディア(雑誌だけじゃなく個人も含めて)があっていいということだと思うのですが、パイの少ないわりにこの業界は似たようなメディアが多くなっていないかという印象があったりします。現在自分の関わってるメディアは主に(このブログと)カレントアウェアネス・ポータルですが、これからもカレントらしい(他のメディアでは扱わない/扱えない)記事企画を立てていかないとなあと思ったりしました。

じつはソーシャルブックマークサービスというのは「調整された分散主義」的な情報収集体制を構築しうるツールなのかも。つまり、このひとはこのテーマあのひとはあのテーマという分担をトップダウンに決めるのではなく、ひとりひとりのプレイヤーが「穴」を見つけて自発的にそこをカバーしていくことを通じてゆるやかに全体最適が目指せるというか。まあ、これこそ与太話ですかね。でも「穴」を可視化することができるっていうのがはてブのいいところ、ってのはほんとです。はてブの「世界から未読をなくす」というビジョンにはそれがよく現れていると思っていますよ。


そもそものきっかけ

「北海道の大学図書館職員を中心とした有志による自主的な勉強会」。申し訳ないことに数週間前までHALUと混同していましたが別物だそうで。。また、「北大の」でもないというところも強調されました。この勉強会のただよう仮名称感からは

それは”京都大学”名であるかないかの問題だけではなく。名称すら決まってないような会だから、誰がメンバーかメンバーでないかなんぞはっきりするわけがない。線引きがぜんぜんないから、誰が来てもOKだし、来なくてもどうってことがない。囲みもしないし拒みもしない。もはやパブリックスペース。


京大図書系勉強会(仮称)が10年続いた要因を考えてみた。 - egamiday 3
http://egamiday3.seesaa.net/article/122672611.html

を思い出しました。

勉強会的な場でプレゼンをするのはこれで3箇所目(ku-librarians、京都情報図書館学学習会)。他の勉強会と比較して面白いなあと思ったのは

  • 毎回ポスターを作っている
  • 参加者を対象に事前アンケートを行っている

という点です。

正直、ようやるなあ、まじもんの研修のようだ。特に、ポスターについては広報上手な北大図書館のカルチャーがベースにあるような気がしました。こういった勉強会の幹事になることのメリットとして、企画力やイベント運営力が身につくということがありますが、それ以外のノウハウの養成も狙ってる感じ。こうやって練習しておけば、本業で突然イベント担当になってもさらっといい仕事ができるでしょうね。

今回は夏季休暇で札幌に行くついでということで発表のお誘いをいただきました。自分もむかし勉強会の幹事をしていたときにあちこちのひとにラブコールを送って来ていただいたので、その恩返しということもあってお受けしたのですが、すてきなポスターを作っていただけるというのも理由のひとつだったりします。あとはこのプレゼンに感銘を受けたこともあって。