海外研修に意義があるとしたら

江上さんが昨年の暮れに図書館員の海外研修について一連の記事を書いていました.


なんでわざわざ海外に行くんでしょうね?[*1] 少なくないお金を出してもらって.現地まで行かないと得られないものってなにがあるんだろう??

僕も4年前に職場の海外研修で中国(上海・北京)に行ってきたせいもあっていろいろ考えてしまいました[*2].きっと行ってきた成果を実際の仕事に活かせているとは思えないという後悔からなんでしょう.気持ちをすっきりさせたい.少しでも意義があったと思いたい.そんなもやもやからあれこれ書き散らしていたものの,なかなか考えがまとまらず.お蔵入りにする方向だったんですが,こないだ英独伊米と4週間でまわってきた同僚のブログを読んでいたらようやっと自分なりの答えが見えてきました.


海外の図書館を訪れたとき,そのひとは否応なく“日本の図書館員の代表”になる.その覚悟と責任,反発,湧いてくる気後れや恥ずかしさやふがいなさ,それらをひっくるめて逃げずに引き受けること.その状態に身を浸すこと.

……海外研修の“海外”の部分に意義があるとしたら,それはこのような体験をしてくることなんだろうと思います.“代表”として立ってきたときの“感覚”を忘れないよう自分のなかに刻み付けること.それができれば,あとはまぁ,いいのかなと.



江上さんのブログでも書かれているように,情報ついては正直現地まで行かなくてもと考えています.ウェブで調べられること,メールで聞けば十分なこと(だいたい事前に質問票を送ってそれに沿って現地で説明を受けることが多いですよね),聞いてきてもすぐに陳腐化してしまうことが大半やと思っています.特に毎日海外の情報を漁るような仕事をしているとどうしてもそう思えてしまう…….

ほかに成果としてよく挙げられるのは人脈ですが,悩ましいですね…….正直 *僕は* 現地で出会った人たちとのコネクションを仕事につなげることができていません.出張当時TwitterFacebookが普及していれば!とは思いますが[*3].ただ,実際に間近で目にすることで「このひとすげえかっこいー!」と刺激を受けることのできた出会いは確かにありました[*4].かっこいい働き方をしている人を実際に目にすることができるのは,国内外問わず出張の醍醐味だと思います.他所から誰かやってきたときに自分もそう思ってもらえるようになりたいですね.



そんなわけで,陳腐な考えだと思いますが,自分なりの答えがまとまったのでやや満足.


*1:【追記】江上さんはハーバードでの1年間のvisiting librarianの経験も含めて語ってらっしゃいますが,僕は1〜2週間程度の短期の研修を念頭においてます.イリノイ大学のモーテンソンセンターでの研修のようなものはまた別物という気がする.

*2:http://hdl.handle.net/2433/77706

*3:帰国後,当時アカウントを作っていたLinkedInでは探しました.1人見つけてリクエストしてみましたが返事なく…….

*4:c.f., Wang Zhigeng, National Library of China.