「E1791 - 欧州におけるCRISと機関リポジトリの連携の現状」を書きました

http://current.ndl.go.jp/e1791

昨年10月のE1725に続いて、EUNISとeuroCRISの報告書の紹介記事をカレントアウェアネス-Eに寄稿しました。

この報告書は執筆依頼をいただくまえにいつかどこかの飛行機のなかで読了済みでした。現在の自分の関心テーマどまんなか!なので非常にありがたい情報源ではあるものの、正直ちょっと結論を急ぎすぎてるきらいがあり、広く紹介するのも微妙かなあと感じていました。ただ、そのへんも含めて批判的に紹介してOKという依頼でしたので、お受けしました。ほんとはCOAR Observatory Third Editionが出たときにきちんとまとめるべきやったんや……。

自分の意見は以下の段落で述べています。

ただし,回答数の少なさと国による偏り(7か国では回答数が1機関のみ。回答数上位5か国で全体の6割を超える)を鑑みると,本調査で多様な欧州の現状を把握できたとは言いがたいのではないだろうか。DRIS(CRISのダイレクトリ)に掲載済みのCRISからの回答や,2013年に同様の調査が行われたポルトガルの現状が十分に反映されていない可能性について言及されている点も気にかかる。また,現在はCRISとIRの併用が大半を占めるものの,CRIS導入数の伸びを考えると今後の趨勢は分からない。設問は用意されていなかったが,どちらかに統合したいと考えている機関はないのだろうかという疑問も湧く。ぜひ今後の継続的・網羅的な調査の実施を期待したい。

最後に第五期科学技術基本計画について触れましたが、ちょうど『情報管理』2016年4月号の「第5期科学技術基本計画における主要指標について」という記事のなかで、

具体的には,筆者は,府省共通研究開発管理システム(e-Rad)と他のデータを結び付けた新たなシステム開発が重要と考えている。


答申案においては,「府省共通研究開発管理システムへの登録の徹底や,当該システムと資金配分機関のデータベースとの連携を進めつつ,総合科学技術・イノベーション会議及び関係府省は,公募型資金に対する評価・分析を行い,その結果を資金配分機関やステークホルダーに提供する」ことがうたわれている。


e-Radは,原則として公募型研究資金制度を対象としており,その運用に当たっては「マクロ分析に必要な情報を内閣府に提供すること」が,公募要領等に明記されている。これにより,府省を超えた政府全体の公募型研究資金制度における資金配分情報について,府省別・配分機関別,被配分機関別・分野別,研究者・男女・年齢別等,さまざまな切り口から分析を行うことができる。


また,論文,特許,商標,製品等に関する指標は,研究開発投資に対するアウトプット・アウトカムといった知的ストックを示す指標である。e-Radにこれら指標をひも付けることにより,政府研究開発投資が生み出した成果を把握することができる。


http://doi.org/10.1241/johokanri.59.32

のように提案されていました。なるほど、e-Radか。今週はKAKENもリニューアルしましたね。funderベースならそれでもいいのだけど……。

# この4月から『情報管理』の読者モニター的な仕事をしています。