2017年のふりかえり

本業で特筆すべき点は3つほど。

1、昇任と転籍。部署はそのままなので断絶は少なかったものの、それっぽい書類仕事が増えた(そして自分のケアレスミスの多さにうんざりした)。係長という立ち位置それ自体よりも、一時的に部下が欠員になって、すべての業務を隅々まで把握しておかなくてはならないという覚悟が必要となるシチュエーションに置かれたことのほうが、結果的には良い試練になった、その後に必要になった自信がついた、と感じている(3か月で済んだからそんなのんきなことが言えているのかもしれない)。同年代の、昔いっしょにアホなことやってたひとたちがそこそこのポジションにいることが多くなって、なんか面白くなってきたなあ、と年末にふと思ったりした。

2、図書館システムリプレイス。1月に入札説明会、2月に技術審査、3月に開札(ヒヤヒヤ)、4月にキックオフ、5-6月に詳細設計、7-9月の開発を経て、10-11月に評価、12月にサービスイン、というスケジュールで、年始から年始までかかりっきりだった。プロジェクト全体のマネジメントだけではなく、WebサービスのUIの設計、メタデータスキーマの変更、ディスカバリーサービスの移行、関連していくつかのサービスのクローズなども担当していた。UIに悩んでいた10月下旬頃は、毎晩夢のなかでもCSSを書くようなありさまで、そんななか外部システム連携系の調整をすっとばしていたことが分かったりもし、このころが疲労のピークだったなぁ。「ドタバタしないリプレイス」という目標に反して、佳境を迎えるにつれどんどんボロが出てきて、結局リリース後2週間は火消しに追われることになった。そんな自分の余裕のなさを主な理由として、まわりを楽しく巻き込んでいくという目標が十分に果たせなかったのが反省点。いろいろあるものの、自分はシステム開発をやるためにこの業界に入ったようなものなので、就職11年目にしてやっと大学図書館員になれたかなぁという、安堵した気持ち(これで安心しきってしまわないように……)。あとはこれを何回できるか。
# わーい、egamiday氏のブログのオチに採用されたよっ。
# http://egamiday3.seesaa.net/article/455895840.html

3、JPCOARスキーマの策定。ナショナルな標準を策定して、それを海外で広報し、同時に所属機関で実装した、という経験をした。自分ごとの課題をプレゼンして、そこから派生したナショナルプロジェクトに貢献して、その成果を再び自分とこの仕事に還元していく、そんな、“標準化”というものとのある意味で正しい付き合い方ができた。こういうのはえてして遊んでると思われたりしがちだけど、ほんと、最終的に自分が楽するために苦労してんだ、というのを証明した(だれに?)感ある。

あれこれ手を出すのは諦めて、大事をとって安全側に倒したことが多かった。そういう意味では、例年よりも余裕のある一年だったようにも思う。限定された領域ではあるもののそこにどっぷり浸かることができたので、充実感・満足感はいつになく高かった。体型も維持できたし。

researchmapによると、書きものは1本、講演ものが3本、ポスター発表(国際会議)が1本、ということでアウトプットが大変少なめ(でも1月に2本書きものが出る……)。出張も控えめにした(といいつつカウントしてみたら国内 x 8回、海外 x 2回とそんなに少なくもなかった)。ブログもちっとも書かなかった(これ以外に11本だけ)。いや、2016年3月からずっと関わっていたJPCOARスキーマの公開にこぎつけたし、システムリプレイスで新しいサービスをリリースしたわけなので、自分のキャリア史上最大にアウトプット過剰な一年だったと言うべきなんだろうけど。最低限のインプットだけで逃げ切った結果、頭がずいぶん腐っているので、来年はもうちょっとちゃんと読んで/書かないと。

業界動向では、国内は、早慶共同図書館システム、JST-CHORUS契約、IIIFの盛り上がり、ジャパンサーチのメタデータマネジメント、京大利用規定改訂、『本棚の中のニッポン』OA化、ORCIDコンソーシアム、あたり、海外は、Elsevierによるbepress買収、出版社のSci-Hub/ResearchGateへの対応、引き続き盛り上がる(盛り上がりすぎてるように見える)プレプリント、あたりが記憶に残る。機関リポジトリとデジタルアーカイブの邂逅という流れを強く意識した。一方、研究データ管理のことはあんまり考えなかった。

ライブは11本(ベストアクトは初めてのamazarashi)。海外渡航は5回(うち2回は出張)。


あとは細々とした記録を、その頃流れていた曲といっしょに。

1月

オリーブオイルと宮崎名物マキシマムの相性の良さに気づき、年末ベルリン旅行土産のバルサミコクリームともあわせて、チキン豆腐サラダばかり食べていた。オープンアクセス方針の実施要領を公開して、運用開始(オープンとか言いつつCC BYじゃないのかよと某さんにツッコまれる)。入札説明会。東京出張(会議)の帰りに銀座アンジェリーナのモンブランに感動し、羽田T1で売っている小波(これもモンブラン)をお土産にしたら大好評だった。眩暈SIREN@Queblick。イリノイ大学の方々がいらっしゃって職場でオープンデータのシンポジウム。実は伊藤之雄先生が同郷であることを知る。同僚が信州に帰っていく。再度の東京出張(会議)のついでに西荻窪→Total Feedback@高円寺HIGH(僕の死んだ彼女を生で見るのはこれが最後になったりしないだろうか……)。





2月

オープンアクセス方針説明会、3 days。からの、LA出張。初の米国、しかも政権交代直後ということでいろいろビビっていたら、ビジネスアップグレードで意表を突かれる。アドバイザリーな役目をこなしたあとは、UberUCLACaltechを訪問した。先月のTotal feedbackの残響からマイナーなシューゲばかり聴いてて、bandcampやsoundcloudで音源をいくつか買った。吉田博展@久留米市美術館。



3月

LAを懐かしみつつの『LA LA LAND』。JPCOARスキーマパブコメ開始(大変だった……)。Huawei nova購入。id:negadaikon がやっと来福してくれて。東京出張(科学データ研究会WDS国内シンポジウム)。職場でトラックボールケンジントンSlimBlade)に乗り換える。ぼくのりりっくのぼうよみ@DRUM Be-1。職場の送別会を幹事権限で憧れの百年蔵にて。NDL関西館出張。某紀要でCCを導入する。



4月

昇任(id:otani0083 も)。キャンベル先生が国文研の館長に(ジル・サンダー好きとかおされすぎる)。シナリオアート@BEAT STATION。春祭りで飲んだかぼす&ハニーのクラフトビールが美味かった。CiNii騒動。「デザインの良いもの・きれいなもので学生の感性を育みたい」(カレッジマネジメント, 203, p.71-73)ということばがツボったらしい。館内初任者研修でWebサービスの話をする。Awesome City Club@BEAT STATION。プロマネ試験はぶっち。まさかの麻耶雄嵩月9。amazarashi@福岡市民会館。珍しく車を借りてドライブ(篠栗九大の森南蔵院)。職場では体制整備に追われていたら一ヶ月終わったような記憶がある。GWは航空券のセールでマカオ→香港へ。初めての海路越境にテンションを上げたり、マカオのそちこちでポルトガルを感じたり、香港の安宿で辛抱したりした。




5月

プリズンブレイク寝不足。先月のライブを引きずってamazarashiのベストを延々とリピートしていた。仕事では主にメタデータまわりに取り組む。OpenRefine、OR2017のポスター、NIIオープンフォーラムの発表準備、PubMed LinkOut、メタデータクリーニング、次期メタデータスキーマの設計、……。あとは次期Webサービスのレビュー。とあるイベントで学内の某偉いひとが「職場は最終的に自己実現の場」「余裕もないので優秀なひとに集中投資」などとおっしゃっていて見直した。木根尚登@ROOMS、マイヘア@BEAT STATION。



6月

職場インスタ開始。筑紫キャンパス訪問。日文研主催の「海の向こうの日本文化シンポ」に出かける。スポンサーが3機関にまたがったため調整が激しく面倒だったNIIオープンフォーラム→NDL関西館出張。数年ぶりにli:d techメンバーが集合して月島でもんじゃを食べた。某先生大発見の記者会見を見学する。係長研修(広報室長の熱っぽい講義が面白かった)。そのままオーストラリア出張(OR2017)。旅先で高熱を出して心細かったけど、ローカルなヨーグルトはめちゃうまだった。部下が異動して、欠員に。





7月

id:haseharu が転職。てんやわんやであんまり記憶がない。夏期休暇でクロアチアドゥブロヴニクへ。クラムボン@BEAT STATION。上原善広さんの本を何冊か立て続けに読む。「行き場を失った寂しさのインデックス」っていうメモが残ってたんだけどこれなんですか? 天神地下街にオープンしたRINGOのアップルパイをようやく入手(うまい)。



8月

主にWebサービスの詳細設計やいろいろのクローズの調整をしていた。某セミナーと某総合展フォーラムの登壇依頼をいただいたものの無理すぎて断った。次期JAIRO Cloud開発タスクフォースへのお誘いを受ける。死んだ僕の彼女が活動停止。。コードブルー寝不足。お盆は数年ぶりに帰省して家族旅行。古いアルバムをめくって、父親が星野源に似てるということになった。立て続けに高野山・大阪へ。スネオヘアーパンゲア。合理的配慮。情報管理原稿をざっと書いた。ゆきちゃんの『トップランナーの図書館活用術:才能を引き出した情報空間』が話題になる(けど、紙でしか出ないので未だに読んでなくてごめん……いい加減諦めて買おうかしら)。




9月

台湾映画を立て続けに見る(「あの頃、君を追いかけた」「藍色夏恋」「台北に舞う雪」)。夜の動植物園。某教授会でプレゼン(わりとうまくできた)。シュトーレン氏、激ヤセ。アーカイブサミット(河原町三条のThe Millennialsが良い宿だったのでまた泊まる)。NII出張(会議)。留学中の友人がベルリンからロンドンへ移住。Awesome City Club@福岡。NDL関西館出張。月末はJPCOARスキーマ関連の追い込み。。



10月

九大六本松キャンパス跡地に六本松421がオープン(蔦屋書店、福岡市科学館)。部下の欠員が埋まってほっとするも、こちらに満足な受入体制ができてなくて申し訳なかったりした。東京出張(JPCOARスキーマ説明会)、これからの学術情報システムに関する意見交換会、次期システム学内説明会、IIIFワークショップin九州、と秋らしくイベント続きの日々。左足親指に数年ぶりの肉芽腫ができるも幸い薬だけで落ち着いてくれた。図書館雑誌の依頼で『はじめての電子ジャーナル管理』の書評を書く。幼馴染が『仕事ではじめる機械学習』を出版する。AWS Cloud Roadshow 2017 福岡。図書館総合展の準備もあったし、WebサービスのUIに悩んでいたし、季節柄、統計や評価ものも重なるし、このころが疲労のピーク。ようやくJPCOARスキーマ正式公開(おつかれさまでした)。


11月

三連休に高雄→台南旅行。で、豆花ブーム。東京出張(図書館総合展、学認運営委員会)→係長研修フォローアップ→学内バドミントン大会(今年も即席ペアで、C級3位)。横浜ではみんなの憧れやわとしょさんとパンケーキを食べた。いろいろ終わった開放感でパナライカ12-60をポチってしまう。眩暈siren@Queblick。桃山展@九博。Schroeder-Headz@福岡ROOMS。極地研OA方針策定。ベイビーステップ突然終了とか笠間書院・岡田さん退職とか某同僚さんの退職とか、ショックなことが続いた月だった。落ち着いて見る時間がなくなってきたのでHuluを解約した。




12月

新システムサービスイン。からの、連日の謝罪。「北欧、暮らしの雑貨店」トークイベントブックスキューブリック箱崎、で一息。ドタバタが落ち着いてきたところでリポジトリメタデータに取り組む。目処が立ってきたところで、ひととおりの解説をしてあとは部下のひとに任せてみることに。で、自分は貴重資料のメタデータのほうに着手する。未だに「古典籍」というものに対してどんな距離を取ったらよいか分かってないんだけど、資料撮影作業に数十時間ほど費やしてみて、カメラ趣味の自分には「被写体としての資料」という向き合い方が合ってるかもしれないと気づく。ただただ、“いい顔”に撮ってあげたらいいだけなんだろう(ということにする)。原作の進捗もあって心配していた「ボールルームへようこそ」(アニメ)がぶじに最終回を迎える。バドミントン全日本を後追いでざっと見る。桃田の代表復帰がめでたい。大堀彩の「明日死んでもいいくらいの気持ちで」にぐっときたけど、「楽しんでプレイしたい」と自然体の山口茜が優勝をかっさらっていくのがなんともいえない。年末の海外逃亡は諦め、道後温泉に行ったり、素直に帰省したり。

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