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カレントアウェアネス-E No.254感想

CA-E感想

この2週間もいろいろあったなぁ……と,珍しくばたばたしているのであっさりめです.

今回は6本中,外部原稿が1本.





■E1532■ 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2014/2/14現在)

もうすぐまる3年.2011年3月17日以来,当初は毎号,最近では1〜2か月のインターバルで途切れることなく続いてきたこの「震災まとめ」が,いまでもこれだけのニュースを紹介しているということにいろいろと想いが重なる.

友人が勤めていることもあってこのニュースがいちばん気になりました.

1月24日,独立行政法人日本原子力研究開発機構国立国会図書館および国際原子力機関と連携し,東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故関連情報アーカイブ化への取組みを本格化すると発表した。
http://www.jaea.go.jp/02/press2013/p14012401/index.html

IAEAも絡んでるんだなあ.





■E1533■ 学生主体の憩いの場―山口大学総合図書館「りぶカフェ」

山口大学の岡崎さん.なんとまだ就職一年目の男の子です.

Facebookで,

図書館総合展でHayashi Yutakaさんの発表に刺激され、「自分も書いてみたい」を言ったのですが、こんなに早く実現するとは思いませんでした。

と書いてくれてましたが(勝手に引用.ごめんなさい),10月の図書館総合展CAフォーラムのときに「いつか書いてみたいです!」と元気に言ってくれたのでした.以来,なんかぴったりのネタがないかなーと意識していたのですが,運よく山口大学総合図書館で面白い取り組みが実現したので編集部からオファーが届いたのでしょう.こういう流れはCAフォーラム(の特に自分のトーク)の目指すところでしたし,フォーラムやってよかったなぁとしみじみ思ってます.岡崎さんにとって良い経験になってくれてたら何よりです.

 りぶカフェ誕生のきっかけは,当館の耐震改修工事である。当館では2012年10月に,滞在型図書館の機能充実と図書館のさらなる活性化のため,飲食可能なスペースを新設することを決定した。そこに,図書館専門委員会委員の経済学部教員を通じて,学生によるカフェの企画が持ち込まれた。

この部分,教員と学生の関係がくわしく知りたい.授業かなにかが発端だったのかな.学生が図書館に企画を持ち込むのに理由もなく教員を経由するとは思えなくて(教員が図書委員かどうかなんていう情報はあんまり知らないだろうし).

そして,このくだりにはびっくり.

 りぶカフェ実現の大きな後押しとなったのは,「おもしろプロジェクト」である。おもしろプロジェクトとは,学生の自主的活動への山口大学の資金支援制度である。1996年,広中平祐学長(当時)の発案により誕生した。おもしろプロジェクトの特徴は,企画内容については大きな制限がないということである。そして,最高支援額が100万円という非常に高額な支援制度であることもあげられる。これまでの支援総額は約7,000万円にものぼり,「失敗してもいい・思う存分やってみる」という哲学が学生たちの主体的・創造的な学びを促進している。

やー,まさかCAで広中せんせのお名前をお見かけするとは……(正確には「廣中」だったと思いますが).言わずと知れた日本二人目のフィールズメダリストです.山口のご出身だったんですねぇ.その縁から山口大学の学長をされていたのかな.



【追記】このエントリ,見逃しておりました.

猫に夢研究所 カレントアウェアネス-E(CA-E)への執筆依頼をいただきました!
http://nekoniyume.blog.fc2.com/blog-entry-11.html

でも、CAフォーラムで林豊さんがおっしゃっていた「CAポータルは皆さんに成長の機会を提供できる」という言葉を信じて、この機会にしっかりと成長したいと思います。
ここで「自分の「最前線」をちょっと前へ」進めたい!

ありがたやありがたや.





■E1534■ 公共図書館で学術文献を:英国の試み“Access to Research”

篠田さん.

英国の公共図書館で150万件もの学術雑誌記事を無料提供するプロジェクトの紹介.まず,出版業界によるプロジェクトだったいうのにびっくり(何がねらいなんだ).そして,Finchレポートの流れというので納得.出版社にとっては“OAにするよりこのほうがマシ”ということなんだろうか.

以下の部分を見ていると大学図書館におけるウォークインユーザの利用条件と変わらないように見える.となると出版社てきにはそれほど新たな損は発生しないという感じ?

 利用条件には,個人利用であること,公共図書館の館内の端末からセキュアなネットワークで認証を経てアクセスすること,USBなどの媒体や個人の端末へのデジタルデータの保存はできないこと,印刷は1資料につき1部のみであること,印刷物から著作権表示を削除しないこと等の条項があげられている。インタフェースは,ProQuest社のSummon(CA1772参照)が使用されており,文献の一元的な検索が実現されている。

しかしこんなところのSummonが登場するとは.ということはこのプロジェクトで提供されるコンテンツはSummon-indexedなものから選ばれているということなのかな.





■E1535■ Europeana 1914-1918:第一次世界大戦の記憶を共有する試み

篠田さん2本目(菊池さんかなって思ったけど).

 主なコンテンツは,戦争経験者約7,000人の書簡や写真等約90,000点,国立図書館10館等のデジタルコレクション約40万点,約660時間分の映像資料の三種類である。この三種類のコレクションを中心にEuropeana 1914-1918の概要を紹介する。

今回一気にぜんぶ作ったというのではなく,一つ目のコレクションはThe Great War Archiveから,二つ目のコレクションはEuropeana Collections 1914-1918から,三つ目のコレクションはEuropean Film Gateway 1914からと,既存のデジタルアーカイブを組み合わせているらしい.The Great War Archiveのコレクション収集方法のひとつとして紹介されているFamily History Roadshowsは面白いですね.地域資料を収集する全国ツアーみたいな,

この記事ではコレクションの紹介に主眼が置かれてましたが,Europeana 1914-1918というプロジェクト自体のロードマップが気になるところ.Europeanaは戦略がしっかりしてるし,最終的に2014年にこのかたちにまとめ上げることをゴールにしつつ,サブプロジェクトとしていろいろなコレクション構築を進めていたのかなあ.





■E1536■ ミャンマーの図書館事情:アジア財団レポートより

依田さん.

ミャンマーといえば鎌倉幸子さんに「E1384 - タイのミャンマー難民キャンプにおける図書館のいま」を書いていただいたのが一年ちょっと前でした.今回の記事で紹介されているのは,ミャンマーにおける図書館界の現状を俯瞰するありがたいレポート.

前半部分では大学図書館が「政府系の図書館」に入ることとその数が少ないこと,一方でIPRDに登録された図書館は55,755館と非常に多いこと(最初5,755館の間違いじゃないかと目を疑った)に注目しました.図書館といって通常イメージするものとは異なる,小さな小さな図書館が多いんでしょうか.

後半のサンプル調査は面白いですね.こういうの日本でもあるのかな.インタビュー対象に非利用者が入っているところも良いですね.

 今回の調査では,全国の村及び小区にある図書館から206館をサンプルとして抽出している。206館のうち,村の図書館が92%を占めており,また公共図書館として登録されていたのは82%であったという。これらについて,調査員が訪問し,図書館員(206名),利用者・非利用者(各412名),さらに自治体関係者等,計1,275名に対してインタビューを行い,資金,職員,利用状況等についてのデータを収集している。

紹介されている結果のなかでは職員についての部分が気になりました.

 職員についても予算制約により厳しい状況にある。職員の給与に充てられる予算がなく,多くの図書館はボランティアによって運営されているという。図書館員の学歴については,調査対象の206名のうち,高校卒業が39%,大学生が8%,大学卒業が31%となっている。また,年齢層は,48%が40歳以下となっている。男女比はおよそ2:1となっている。98%の図書館では図書館員の公式な研修に資金を投入したことはないという。

男性のほうが多かったのかぁ.





■E1537■ 研究データへの識別子付与と引用可能性向上:DataCiteの活動

依田さん2本目.

前号の「E1531 - 研究データの共有と活用のために:研究データ同盟の分科会」に続くかのような,研究データ関連団体の紹介記事.記事のトリガーがよく分からないけど,いい流れですね.次号あたりで先日の国際シンポジウムの報告が載ったりするのかな.しかしそろそろCAポータルに「研究データ」というタグを作ってもいいような気がします.いっときは「eサイエンス」を振っていましたが.

要は論文だけじゃなくデータセットにもメタデータスキーマを決めてDOIを振って引用できるようにしましょうという話なんですが,この領域だけでもCODATA,ICSTI,FORCE11といろいろな活動があるんですねえ.RDAのWG/IGの話は前回の記事で勉強したけど,ORCIDとDOIのリンク付けをするODINとか知らなかった(しかも欧州委員会のFP7の配下だし).





次号は3月6日…….