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カレントアウェアネス-E No.275感想

#前号書いてないけどとりあえずこちらを先に。

4本、うち外部1本。オーファンワークス、デジタルプリザベーション、リサーチデータと地味に重たい号。



■E1648■ 英国における孤児著作物に関する新ライセンス・スキーム

局・齋藤さん。

2014年10月末導入の新スキーム。南さんのE1582の続きですね(当時の感想)。このネタも経緯が長い。。

このスキームは、

  1. 拡大集中許諾制度(先行実施済み)
  2. 孤児著作物ライセンスに関する規則(英国内限定、広範)
  3. EU孤児著作物指令を実施する規則(文化施設が非商業的になどの制限がある)

から構成されているという。記事では主に2, 3を紹介。

EU指令は各国に影響が出るので内容が弱いところがあり、英国内限定のほうではより踏み込んだことを言っているという関係かな。英国は今回単にEU指令の適用(後者)だけに留まらなかったのが偉い、と評価すればいいのだろうか。「このスキームにより,約9,100万点の孤児著作物(英国政府による推計)を利用する道が新たに開かれた。」

後段で日本の制度と比較して「英国内ライセンス・スキームは(中略)日本の裁定制度とも類似している」としている。逆に相違点がよく分からなかった。すっかり忘れてたけどここでいうライセンス料に相当する「補償金」なるものが日本の制度にもあるし……。



■E1649■ 図書館のためのデザイン思考

安原さん。

まさか図書館の文脈でIDEOを目にするなんて、という。元ネタはまだちゃんと見てないんだけど、フレームワーク自体は一般的なもので、図書館の領域に適用した事例を添えているということなのかな。主に、inspiration→ideation→iteration、というフェーズの紹介。個人的には他2つはわりとなじみのある感じだったけど、最初のinspirationの内容が興味深かった。課題ファーストじゃなくてまずターゲットユーザを定めるんだ、とか、ユーザと課題について幅広く&深く調査していくさまとか。



■E1650■ 電子情報保存の研修への要望に関する調査報告書(米国)

武田さん。

LCのプログラムが行なったアンケート調査の報告書(前回調査は2010年)。研修、というのがなんだか目新しいが、ニーズ調査なんですね。オープンな調査ではなく「米国本土と準州における電子情報保存に関係する機関」が対象。回答数436。MLAだけでなく、歴史学会なんていうアクターも入っているらしいのが面白い。

研修に対するニーズについては、電子情報保存という領域だからといって特別な違いがあるのかどうかはよく分からなかった。国や地域によって距離感とか違うだろうしなあ。

「電子情報保存担当の職員数や配置について,この4年間で変化が見られたのが重要な発見であるとされる」から「報告書では,専門職員数に関するこの知見は,文化遺産を長期保存するためのデジタル保存に取り組む団体にとってよい傾向を示しているとしている」のくだりはちょっと覚えておきたい。



■E1651■ RECODE:研究データのあるべきオープンアクセス方針とは

ラストは篠田さん。

Policy RECommendations for Open Access to Research Data in Europe(RECODE)による、研究データのOAに関する10の提言を紹介。FP7のプロジェクトなんだ。

「学問分野固有の研究プロセスやデータ収集等への配慮に欠けていることが課題であると認識」にうんうん。論文のOAよりも文化差が激しい気がする。提言をまとめるにあたって「物理学,医学,生物工学,環境学,考古学の5つの学問分野に係るインタビュー調査を元に」とあるけど、個人的には地球科学の存在感がけっこう大きいと感じている。環境学、がこのなかだと比較的近い領域と言えるのかな。

提言のうち、データらしさが感じられるものとしては、

  • (5)OAデータの長期的な管理・保存の計画を策定する
  • (6)高品質な研究データへのアクセスと長期保存を実現するため,技術面,インフラ面で広範囲にわたる協力的な解決策を検討する
  • (7)研究データの技術的,科学的な品質基準を検討する
  • (9)研究データをOAにすることから生じる法的・倫理的な課題を体系的に検討する

あたりかなあ。特に(7)に興味がある。

これとは別にステークホルダー(助成機関、研究機関、データ管理者、出版者)別の提言もまとめられているらしい。



次回は2月19日。