研究評価分析ツール(2):各社ソリューションと関連雑誌記事
承前。多少整理したメモという感じで申し訳ないですが。
各社ソリューション
Elsevier
「研究マネジメント(Elsevier Research Intelligence)」と銘打っています。
- http://www.elsevier.com/jp/online-tools/eri
- http://www.elsevier.com/jp/online-tools/eri/eri_brochure.pdf (2014/6/16公開)
Scopusのデータを基礎として、
- SciVal(2014.1刷新。SciVal SpotlightとSciVal Strataを統合)
- Pure Experts Portal(旧SciVal Experts)
- 研究分析サービス(レポート作成)
という3種類のツール/サービスを提供。
上に挙げた brochure には、
とあり、研究マネジメントサイクル(現状分析→情報収集→戦略立案→成果の発信)のうち、SciValは「戦略立案」、Expertsは「現状分析」「成果の発信」に使えるツールだとされています。
このSciVal / Pure / Pure Experts Portalという三者の関係が、Elsevierの日本語サイトだけ見ているとよく分からなくなってくるんですが、英語サイトに掲載されていた図でうまく飲み込めました。
このPureの部分が、日本語の brochure には抜けているようで。
なお、SciVal Expertsでは名寄せ(著者と論文の紐づけ)を3段階で行っている。ユーザーガイドには、
- 最初の段階では、アルゴリズムを使って、Scopus に収録されている論文と著者を自動処理で紐づけます。
- 第2 段階では、訓練を受けた名寄せ担当者が、手作業で確認することで精度を高めます。ここでは、第 1 段階の自動処理で行った名寄せが正しいかどうかを確認し、自動的に紐づけられなかった他の論文がないかどうかを 1 件ずつ確認します。
- 最後に、日本人担当者による最終チェックを行います。
とある。
Thomson Reuters
「Research Analytics」と銘打っています。
- http://ip-science.thomsonreuters.jp/ra/
- http://ip-science.thomsonreuters.jp/media/ps/fs/InCites_fs.pdf
現在、Web of Scienceのデータを基礎として、
- InCites
- Journal Citation Reports
- Esssential Science Indicators
を提供。
ただし、InCitesは7月に次世代版(InCites Next Generation)となり、JCRとESIを統合して、
- Benchmarking & Analysis
- Profiling
- Custom Analysis & Reports
という感じのポートフォリオになるらしい。
うーん、これまでInCitesは、
- InCites GC(Global Comparison)
- InCites RPP(Research Performance Profiles)
- InCites IP(Institutional Profile)
という3つのモジュールに分かれていたのだけど(下図参照。SPARC Japanセミナーの資料p.14から引用)、これらが上の3つとどう対応つくのか、よく分からない。GC→Benchmarking & Analysis、RPP→Profilingという関係でいいのだろうか?
このRESEARCHERID WEB サービスは名寄せとは違うのかな。。
機関に所属する研究者全員について、論文出版情報を含むプロファイルをバッチ・アップロード(一括登録)できます。機関内の著者の正確な特定と追跡に役立つほか、所属研究者の論文出版に関する情報を検索することもできるようになります。
RPPでどのくらい名寄せをしてくれるのかもよく分かってなくて、あとで紹介する市古さん@慶應の報告では、慶應メディアセンター側で名寄せ作業を行ったと書いてあるし。
関連雑誌記事
以下、すべてOAです。
(1)SciVal Spotlight(サイバル・スポットライト) : 戦略的な研究活動計画の策定を支援するソリューション
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007331629
Elsevierの石川さん。2009年とちょっと古い記事だけど、現在はSciValという名称に統合されたSpotlightの紹介。その機関の強みとなる領域を引用というデータから探り出し、そこに光(スポットライト)を当てることのできるツールだと理解。
(2)エビデンスデータを活用した研究力強化と競争時代の研究大学のありかた
http://ci.nii.ac.jp/naid/130003390732
Thomson Reutersの三輪さんと安藤さん。名大、東大、慶應、山口大、岡山大の事例が紹介されていて、基本的にURAのはなしなんだけど、慶應についてはメディアセンター(図書館)が主役だった。以下、引用。
- 「慶應義塾大学では,大学図書館が研究分析を支援するユニークな取り組みを行っている。」
- 「慶応義塾大学理工学メディアセンター(図書館)では,図書館員の卓越した情報プロフェッショナルとしてのスキルを活性化し,著者同定のための名寄せ作業を実施した。」
- 「エビデンスデータを用いて研究評価を適切に実施するためには,研究者の論文の名寄せ,タグ付けといった地道なデータのクリーニングや収集作業が必須であるが,図書館員はそのフィールドで即戦力といえる。」
(3)研究支援と大学図書館(員)
http://ci.nii.ac.jp/naid/40019975579
http://www.lib.keio.ac.jp/publication/medianet/article/pdf/02000250.pdf
そんな慶應の取り組みについて、市古さんが報告してくださってる。とてもおもしろい。読むべき。
2つのプロジェクトが紹介されていて、ひとつはSciVal Spotlight / SciVal Expertsを使ったもの、もうひとつはInCites RPPを使ったもの。後者では、慶應サイドで名寄せを行ったらしい。
冒頭、研究支援センター(別部署)で導入されていたツールが使われずにいたところ、「図書館がそのツールを借り受け,データの提供を行った」というのが同センターとの関わりの発端らしく、可能性を感じる。