京都府立総合資料館で「公文書の世界 in 京都」展を見て考えたこと

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今日から京都府立総合資料館で開催されている,国立公文書館所蔵資料展「公文書の世界 in 京都」を見てきました.初日に行かないと忘れてしまいそうだったから…….

この展示は,国立公文書館が同館以外での開催場所を公募して,京都府立総合資料館がそれに手を挙げたという経緯のものです.公募を見たときに,誰かさんの顔が頭に浮かびきっと京都が手を挙げるやろなーと思ったものです.本当に実現されたこと,そして今のところ他館での開催は予定されなさそうなことは,日本の文書館業界における京都府立総合資料館のポジションを物語っていると考えていいんでしょうか.



文書館,アーカイブズの世界に興味を持つようなったのはつい最近のことで,おそらくきっかけは福島幸宏さん(京都府立総合資料館)との出会い[*1],でした.そのおかげで,福島さんに勉強会でお話いただいたり,京都国立近代美術館バックヤードツアーを企画してMLA連携に接近してみたりしながら,自分は目に入れるものの範囲を少しずつですが広げてこれたと思います.

とはいうものの,よく考えたら“文書館”という場所に足を踏み入れたのは今回初めてだったかも.だめじゃん.日本では思い至らないし,中国でも档案館には行かなかったし,大学のは展示室どまりだし,っていう.文書館っていうとその道のプロのひとたちばかりが詰めているような場所なのかなと想像していたのですが,高校生らしき子たちが結構来ていて勉強しているのが新鮮でした.エントランスのすぐ右手に用意されている「学習室」だけはなく自販機コーナーのある「休憩室」でもそういった姿を目にしました.


展示内容

展示室は正面の階段を上がって2階右手.入口で30ページほどの図録をいただきました.

展示は,

  • 第1部:公文書にみる近代日本のあゆみ
  • 第2部:災害と復興の記録
  • 第3部:あれも、これも公文書
  • 第4部:公文書保存にまつわる物語
  • 第5部:国立公文書館所蔵資料にみる京都

という5部構成で,全26種(それぞれ数点からなる)の資料が並べられていました.国立公文書館の資料(一部複製)を中心に,京都府立総合資料館のものもありました.

第1部では「国会開設の勅諭」やら「大日本帝国憲法」やらメジャーな資料が展示されていたのですが,原本に書き込みの入った「終戦の詔書」は見応えがありました.複製については実際に手に取って触らせてほしいなぁ.第2部で東日本大震災アーカイブに触れてないのは意図的なもの? 第3部は公文書といっても“文書”だけじゃないんだよという内容で,足尾銅山鉱毒事件の関連で渡良瀬川の砂を瓶詰めにしたものや,治安警察法の適用如何が問われた艶やかな図柄入りの修善寺温泉のタオルなんてものも.第5部は京都関係でなじみがあり,なかでも鞍馬電気鉄道の資料はもっと色々見てみたいと感じさせられました.その絵図にあった八瀬遊園地や大プールってなんなんだろう…….

なお,展示室の出口には「お気に入りの資料に投票!」という紙が貼られ,シールを貼るようになっていました.とてもいいアイディアだと思います.国立公文書館に対するかたーいイメージが崩れました.

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感想

正直なところ自分は“公文書”というたぐいの資料に対してあまり興味を持っていません.持てていません,というべきかな.まったく興味がないわけではなく,深く興味を持てたらいいなぁと思っているという感じ.



日々仕事をしながらよく考えるのはこんなことです.



こういった問題に対して自分はどう向かっていけるのか.よく分からなくて悩むことが多いです.



たぶん自分は“記録を残す”ということのほんとうの意義がまだよく分かってないんだと思います.大切だということには同意できるけれど,その大切さはまだ“自分ごと”になっていないのだな,と.



震災の話に限らず,です.


*1:福島さんと初めてお会いしたのは2009年8月のARGカフェ@大阪でしたが,3度目くらいの顔合わせでようやく名前と顔を覚えてもらえたと思います.こちらはもちろん一発で忘れられなくなりましたよ? 最初っからハグでしたからね.