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図書館法が適用されることのメリット

って,そもそもなんなんだっけ,と.


きっかけは神奈川

昨年11月来,神奈川県立図書館および県立川崎図書館の件が話題になってます.

県の財政緊縮から,(1)県立図書館の閲覧・貸出サービスの停止,(2)県立川崎図書館の廃止,が検討されているのが判明したというのが発端でした.その後様々な議論がなされ,つい先日方針修正が発表されたところです.それによると,(1)県立図書館の閲覧サービスの維持,(2)県立川崎図書館の(機能特化のうえでの)存続,という方向で検討が行われるということです(つまり,県立図書館の貸出サービスの行方はまだ不透明).


さて.県教育委員会はその検討のさなかで,これら2館を図書館法の適用から外すというウルトラCを考えていたらしいです.閲覧サービスの停止は図書館法違反であるという批判(図書館問題研究会の緊急アピール)を受けてのことらしいです.

上記報道では文科省が,

「図書館法は,都道府県立が最低一つずつあるのが前提」と法の趣旨を解説する文科省は,「義務ではないが全ての都道府県に設置されており,無くす検討をすること自体,想定外だ」と指摘している.

というようなコメントをしています.想定外.「前提」ということばからは抜け穴的なにおいがします.そういえば「都道府県には都道府県立図書館を置くこと」というルールはどこでも見たことがないような.


とひとごとのように言ってますが,僕もそんな手があるんだーと非常に面食らいました.ただ同時に,「そもそも図書館法の庇護下にあることで実質的にメリットとなることって何があるんだっけ?」と考えてみたとき,自分は明確に述べられないことにも気付いたのです.

そんなわけで仕事帰りに電車に揺られつつ調べてみました.



まずは図書館法を

久しぶりに頭から読んでみました(「私立図書館」のところは除く).といっても「図書館」にとってのメリット/デメリットという観点から目を通してみるのはこれが初めてです.……どうも「(図書館が)〜なければならない」という記述が多くて,あんまり図書館にとって確定したメリットが書いてないような…….

これくらいでしょうか?

第九条  政府は、都道府県の設置する図書館に対し、官報その他一般公衆に対する広報の用に供せられる独立行政法人国立印刷局の刊行物を二部提供するものとする。

そのほかにも第二十条のようなものもありますが,「できる」であって「する」じゃないしなぁ(そういう読み方はたぶん間違ってる.ただ,この条項が適用されなかったときに国から補助を受ける方法が完全になくなるのかっていうとよく分からない).

第二十条  国は、図書館を設置する地方公共団体に対し、予算の範囲内において、図書館の施設、設備に要する経費その他必要な経費の一部を補助することができる。

うーん.図書館法を適用されないと受けられないメリットってなんなんだろう?

図書館法施行令と図書館法施行規則も読んでみましたが特にピンとくるものはなく.



関連法規,例えば著作権法では

関連法規のなかで「図書館法に定める」なんて箇所があるかもしれません.というわけでまずは著作権法を見てみました.

著作権法×図書館と言えばまずはこの条項でしょう[*1].

(図書館等における複製等)
第三十一条  国立国会図書館及び図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この項及び第三項において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。
一  図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物にあつては、その全部。第三項において同じ。)の複製物を一人につき一部提供する場合
二  図書館資料の保存のため必要がある場合
三  他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料(以下この条において「絶版等資料」という。)の複製物を提供する場合

この「図書館等」については,別途,著作権法施行令で定められています.

(図書館資料の複製が認められる図書館等)
第一条の三  法第三十一条第一項 (法第八十六条第一項 及び第百二条第一項 において準用する場合を含む。)の政令で定める図書館その他の施設は、次に掲げる施設で図書館法 (昭和二十五年法律第百十八号)第四条第一項 の司書又はこれに相当する職員として文部科学省令で定める職員(以下「司書等」という。)が置かれているものとする。
一  図書館法第二条第一項 の図書館
二  学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第一条 の大学又は高等専門学校(以下「大学等」という。)に設置された図書館及びこれに類する施設
三  大学等における教育に類する教育を行う教育機関で当該教育を行うにつき学校教育法 以外の法律に特別の規定があるものに設置された図書館
四  図書、記録その他著作物の原作品又は複製物を収集し、整理し、保存して一般公衆の利用に供する業務を主として行う施設で法令の規定によつて設置されたもの
五  学術の研究を目的とする研究所、試験所その他の施設で法令の規定によつて設置されたもののうち、その保存する図書、記録その他の資料を一般公衆の利用に供する業務を行うもの
六  前各号に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は一般社団法人若しくは一般財団法人その他の営利を目的としない法人(次条から第三条までにおいて「一般社団法人等」という。)が設置する施設で前二号に掲げる施設と同種のもののうち、文化庁長官が指定するもの
2  文化庁長官は、前項第六号の指定をしたときは、その旨を官報で告示する。

というわけでここに図書館法が出てくる.必要十分条件ではありませんが,図書館法の適用を受けることによるメリットと言えるでしょうか.

こんな恩恵が,探せばいろいろ出てくるんでしょう.たぶん.



助成金の申請とか

助成金の申請基準になってたりするのかなぁ…….有名どころで図書館振興財団振興助成事業を見てみましたが[*2],個人でも申し込めるということだしそもそも図書館法は関係なさそう.




などなど.すみません,やっつけです.法律は得意じゃないので誤解がありそう.まぁでも意外と根本的なところでよく分かってないんだなということに気づいてちょっと面白い.




【2013.3.2加筆】

@sakuraya_tohru さんのブクマツイートが大変ありがたかったです.前例があったんですね……(愛知県図書館は院生時代に足しげく通っていたのに).

ぐぐってみると愛知県図書館の「平成20年度図書館専門委員会会議録(PDF)」が見つかり,そのなかで館長が

図書館法 14 条には、図書館協議会を設けなさいという規定があります。愛知県図書館は図書館法の図書館という位置付けがされておりませんが、それに準じたものとしてこの図書館専門委員会があるとご理解いただけたらと思います。

と語っています.おお.


*1:貸出については非営利・無償であることがポイントなので図書館法は関係ない.著作権法第三十八条の四「公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができる。」

*2:申請書類が見当たらないのでFAQを.