ファッション x Linked Open Data
僕は仕事をすることと服を買うことくらいしか生きがいを持たない人間なので,この両者が絡んでくれたら面白いのになーということをたまに考えます[*1].
ここ数年で興味深く感じている動きとしては,ユナイテッド・アローズのアーカイブと,Europeana Fashionあたりでしょうか.むかしから地元の岐阜市立図書館にはファッションライブラリーというものもありますが[*2].海外のファッション系デジタルアーカイブを見ていると,日本でも着物のデジタルアーカイブとか作ったらいいのにと思ったり.
そんななか,面白い取組みが.
3月頭に,今回で2年目となるLinked Open Data チャレンジ Japan 2012の結果が発表されました.これは,Linked Open Data(≒RDFによる大規模データセットの公開やその活用)に関するコンテストで,データセットやアプリケーション,アイディアを投稿するというものです.受賞作品はどれもおもしろくて見ていると楽しくなってきますが,なかでも「ヒューマンセントリック賞」に輝いたのがファッションをテーマにしたものだったのでテンションが上がってしまいました.
作品名称
GIRLS FASHION LINK
Girls Fashion Data
GIRLS FASHION LINK App
受賞者
洞渕彩未 中尾京子
審査員のコメント
LODの世界についにポップなデータが登場しました。データがあるから公開するのではなく、自分たちがほしいサービスのためにデータを作っている。極めて情緒的な産業であるファッションを非商業な目線でデータ化するというのがとても新鮮です。多くの人を楽しませるデータであることを、データファイルのダウンロード数が証明しています。
作品が3つ並んでいますが,それぞれアイディア,データセット,アプリケーションとなっていて,1セットのものです.それぞれの概要説明をざっくりまとめるとこんな感じになります:
種類が豊富で[*3]人によって好みも分かれる女性ファッションの世界で,スタイル,雑誌,ブランドなどの情報がリンクされていないという状況にある.そこで,
- BrandList:女性ファッションブランドについてまとめたデータセット
- BrandListByMagazine:雑誌に掲載されているブランドリストをもとに分類した女性ファッションブランドのデータセット
- magazineType:雑誌をファッションスタイルごとに分類したデータセット
- photo_to_magazine:ファッションスタイルを表現している写真と写真に近いスタイルが掲載されている雑誌を分類したデータセット
というデータセットを作成した.さらに,そのデータセットを使って,好きなファッションスタイルからウェブサイトやブランドを探すことができるウェブアプリケーションを開発した.
→効率よく情報を集め,おしゃれを楽しめるように!
そのアプリケーションは以下で試すことができます.CASUAL・GAL・OFFICE x FEMININE・MODE/COOL・大人系・STREETというマトリクスから好きなスタイルを選ぶと,その横に雑誌リストが表示され,そこからブランドや雑誌ウェブサイトを調べることができます.
http://app.linkdata.org/run/app1s214
アプリケーションの基礎となっているデータセットはここからダウンロードできます(ライセンスはパブリックドメイン).Turtle形式で落としてちらちら読んでみましたが,
- MagazineTypeで各雑誌の対象年齢層(generationMin,generationMax)を記述
- CASUAL・GAL・OFFICEは雑誌の分類(largeCategory)
- FEMININE・MODE/COOL・大人系・STREETはブランドの分類(brandStyle)
- magazineTypeとphoto_to_magazineは役割が似てる(逆方向)?
という感じ.なるほどね.4つのファイルのなかで,ブランドと雑誌をリンクさせる役割を持つBrandListbyMagazineが一番大きい(Turtleで1.4万行).スタイル間のリンク付けは(少なくとも直接は)されてないっていう理解でいいのかな.
こういうの見てると,Linked Dataが身近に感じられますね.