カレントアウェアネス-E No.277感想

今年度も残すところあと2号。今回も4本で、すべて外部原稿。



■E1656■ 長崎市立図書館「がん情報サービス」PV作成に込めた想い

長崎市立図書館の森さん。

こちらがそのPVなんだけど……ええ曲やな……で最後にクレジットを見たら、作曲者が曽我淳一ってあって。えええええ。トルネード竜巻の曽我さんかっ! すげー。ずりー。名古屋のApple Storeでトル竜のライブ見てからもう10年やん。そして曽我さんが新しいバンド(ともこ一角)を始めている。。写真の左下が歌い手のmaaayoさんかあ。

……という驚きでいろいろ吹っ飛んだ。取り乱した。@chik325 と @hiroyukiokano 先生とちょっと盛り上がった。

記事では、「図書館deサロン」という取組を通して

科学的根拠に基づいた正しい情報を与える事だけが,「がん情報サービス」ではないということに気付き,誰もが誰かの支えになり得ることを知った。

というくだりが刺さった。がん情報サービスは「らしく」生きるためのものであり、そのためにできることは情報提供だけではない、ということだと理解した。

レファレンスサービスのところでは「病院で説明を受けた時は何となく尋ねにくく,自分で調べる事は出来ないのかと考えていた」という男性が登場して、専門家には聞きにくいこともあるよね、そして、図書館員に聞いてくれたらいいのにとこちらが思うようなことでも、利用者は別のどこかのだれかに頼ったりしているんだろうなあ、とちょっと別のことを思った。

ところでこのPVは図書館で流したりしてるんだろうか。音は出るけど。と思って、こないだ有名な伊万里市民図書館に初めて行ったら、書架のそばにテレビが置いてあって、サッカー中継が音声ありで流れていたのにちょっと驚いたりしたんだった。

KooNeのからみでVictorに協力してもらった、のは、TRCがKooNeを取り入れてるからか。ここはちょっと微妙な感じがしないでもないけど、使えるものはなんでも使ったらいいのか。

がんといえばちょうど九大が線虫を使った低コストな検出方法を発見したというニュースが流れていた。



■E1657■ デジタル・アーカイブズによる琉球政府文書の利用促進

琉球政府文書デジタル・アーカイブズ推進事業の話で、事業受託者の株式会社Nanseiの上原さん・土井さんが執筆者。おふたりは「沖縄戦後史を研究する修士以上の学位をもった人材」らしい。

この事業については知らなかった。2013年度に開始されて、2015年度に一部公開予定という。沖縄県公文書館の「E1404 - 米国統治時代の沖縄関係資料の現地収集及びウェブ公開の意義」でも琉球政府文書の話が出てくるけど、まったく別の話なのかな。情報格差のくだりとか、今回の記事でも繰り返されている。と思っていたら、後半の「第二の作業」のくだりで公文書館が登場する。けど、デジタルの話ではない。よくわからん。

事業は「デジタル化業務」「普及業務」「個人情報マスキング業務」に分かれていて、同社は普及業務を担当し、2014年度はガイド作成に取り組んでいるという。ガイド作成のために行っている2つの作業がどちらも興味をそそる。第一の作業で使っている「自社で開発したソフト」というのはなんだろう。これを使うと「非公開にすべき個人情報が含まれる特定・分類」できるんだろうか。ちょっと読み取れない。第二の作業は沖縄県公文書館における琉球政府文書の利用状況を集計してニーズの把握を(資料の階層構造も意識して)行ったという。簿冊やマイクロが対象か。デジタルは勘定に入れるほどではなかった、ということなのだろうか。

この記事はデジタル化というテーマだけど、利用促進にフォーカスしてるんだ。いいな。



■E1658■ 千葉大学アカデミック・リンク・シンポジウム<報告>

小野くんだ。

千葉大には普遍教育センターというのがあるんだ。九大は基幹教育。

アカデミックリンクセンターの取組のなかでは、「学生アンケートを実施し,個人を特定できる番号に一方向性の暗号化を施したうえで,図書貸出記録や成績情報等との連動分析を行っている」と、「学生自身が学習行動を1か月間写真で記録する「フォト・ボイス・インタビュー」」をメモ。前者に関してはむかし「E1324 - 大学図書館の生み出した価値をデータに基づいて示す試み」という記事を書いた。分析結果が知りたいな。後者はセルフドキュメンタリーって感じで面白い。Yaleかどこかの取組でも見たけど、写真を使うというのはいいよね。

ディスカッションで出たという「2015年型アクティブラーニング」と「グローバルアクティブラーニングと称した国際交流や反転学習の環境整備事例」というのはよく分かりません。。



■E1659■ 第11回レファレンス協同データベース事業フォーラム<報告>
                    
レファ協事務局。

今年のお題は「つながる図書館の情報サービス:『調べる方法』の公共性」。というとなんかすごいコンセプチュアルな内容だったように思えるけど、レファ協データのオープンデータ化が裏テーマだったのかな。インターナショナルオープンデータデイ2015の関連イベントにもなっていたらしいし。レファ協APIも出してるし、あとはライセンスの問題なのだろう。記事からは議論の詳細は読み取れなかったけど、結論としては「レファ協データのオープンデータ化は一律にすぐに実現するようなものではない」となったらしい。「レファレンスサービスの成果は図書館と利用者の共同生産物ではないか。オープンデータ化するに当たっては,『調べる方法』とレファレンスサービスのプロセスは分けて考えるべきではないのか」というあたりが課題か。

ちらっと目にしていたBUZZ、BUZZというキーワードは猪谷千香さんの講演からだったんだ。情報発信についての

図書館の情報を広範囲の利用者へ届けるには「BUZZ」(注)が必要であり,その条件として,予想を超える「サプライズ」,“中の人”の情熱が伝わる「パッション」,素早く対応する「アジリティ」,ユーザーの反応に対する「リスペクト」,最後に,継続は力なりとして「コンティニュイティ」などが挙げられた。

というくだりで、ちょうど読んでたりりぱ様のエントリが頭に浮かんだ。

自分はこういうの苦手なので、意識的にできるひとはすごいなあと感心する。

今年のフォーラムは山口大学の岡崎くんがまだすごい若いのに登壇されてたのがなんとなく嬉しかった。おつかれさま。すごいなあ。



次号は……刊行予定日が書いてないや。