ProQuestが360 Linkの新機能IEDLを発表ーSummonの統合インデクスでリンキングの失敗を解決する

さて、ALAですね。

そんなわけで、ProQuest社が6月25日付けでニュースをふたつ出しました。どっちかというとふたつめにびっくりし、記事タイトルに採用。

# 最近SerialsSolutions社のサイトは完全にProQuest社に移行しました。




Intotaのリリース

ひとつめはSaaS型図書館システムIntotaをようやくリリース!というもの。

ProQuest today announced availability of Intota™, a transformative Library Services Platform (LSP) that integrates market-leading management, discovery and assessment capabilities into a single solution.

Intotaスイートのうち、Intota Assessmentはすでにリリース済み。また、ディスカバリーサービスとリンキングについてはひきつづきSummonおよび360 Linkが担っていくということです。今回のリリースの肝は、ManagementとDDA(いわゆるPatron Driven Acquisition)の部分。Managementについては、

Intota offers a flexible approach to managing all aspects of the library’s e-resources. Its unified intelligent workflows break down data silos, while automating manual processes. The advanced support for DDA and evidence-based acquisition models streamlines the entire e-resource lifecycle.

とあります。Intotaは紙も電子もあわせて(unified)管理できることを目指したシステムです。今回紙については明記はされてませんが、おそらく電子資料の管理の部分だけがリリースされたと読むべきでしょうね。

昨年暮れに「Intota Assessmentの導入事例&今後のIntotaリリーススケジュール」というエントリを書きましたが、そのときはERMとPDAの部分を2014年5月にリリース予定となっていました。1か月遅れたけれども、悪くない進行。今年中は無理でも、来年のALA Midwinterにあわせて残りの部分もリリースとなるか?




360 Linkの新機能

もうひとつはリンクリゾルバ360 Linkのはなし。この期に及んで機能拡張があるとは思わなかった……。現在はベータで、7月末までには全導入機関で利用できるようになるとか。

今回のポイントは、

  • Index-Enhanced Direct Linking(IEDL)の導入
  • Sidebar Helper

のふたつ。

まず、Sidebar Helperについては、紹介画像を見てもらうのが早いでしょう。

http://media2.proquest.com/images/360-link-helper-panel-V2.1.jpg

ユーザがどういう動作をしたらサイドバーが開くのかはよく分からず。



もうひとつのIEDLはリリース文だけではよく分からない。元々はSummonのために開発された機能で、それを360 Linkに援用しているらしい(でもSummonユーザじゃなくても利用できる)。これによって、

IEDL technology improves link reliability by eliminating common metadata mismatches between referring sources and target platforms that often cause problems for traditional OpenURL link resolvers.

という改善が可能になるらしい。わかるようなわからんような。

ニュースからリンクされてる解説資料も読んでみるとだんだん飲み込めてくる。

f:id:kitone:20140626205908p:plain

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なるほど……。以下は翻訳じゃないですが、ざっくりまとめるとこんな感じでしょうか。

OpenURLという技術にもとづくリンクリゾルバという製品には2つの問題があった。ひとつは電子リソースのURLが変わりうることによるリンク切れの問題。もうひとつは個々の論文レベルではなくジャーナル/データベースという大きなレベルでしかリンクを提示できない場合があるという問題。そのために論文レベルでの100%のリンキングを提供できずにいる。これらの問題をSummonの統合インデクスを援用することで解決するのがIEDL。統合インデクスには論文のフルテキストのURLが含まれているので、それを使う。OpenURLのクエリでソースとターゲットをリンクするのではなく、すでに分かっているURLでリンクする。リンク解決をターゲットに任せるのではなく、内部で処理してしまう。こうして、360 Linkで論文本文へのリンクを提供できるようになる。

言われてみれば当然そっちのほうがいい、という感じ。とはいえ、OpenURLを完全に捨てるというわけではなく、IEDLでリンクが分からないときはOpenURLを使うというように組み合わせるらしい(このへんの優先順位は設定でいじれるらしい)。資料では、これを“A WINNING COMBINATION”と述べている。

さらに、ぞくっとしたのは以下の部分。

Previously only available to users beginning their research with Summon, integrated IEDL technology with 360 Link means that users can benefit from the reliability and convenience of IEDL links no matter where they are doing their research – whether it is from Summon, Google Scholar, PubMed, Scopus, Web of Science, or any other library discovery tool.

Summon以外のサービスで、Summonの統合インデクスの恩恵を活用する、という感じか。そのちょっと前にも書いてありますが、これだとターゲットがOpenURLに対応してなくてもリンキングできるわけですね。



やってきたクエリを、電子リソースのプラットフォームへとつなぐ。その方法を標準化したOpenURLという技術が登場してはや10年以上が経っていて、リンクリゾルバ自体も本質的な改善がなかったわけですが、今回はひとつ階段をのぼった感じがしました。

OpenURLのリンク失敗(解説資料ではある文献を引用して「5-30%」は失敗するとしています)については、NISOのIOTAというプロジェクトがあります。それとはまったく別のアプローチで来たなあ。

リンキングの精度について「Near 100% reliability」と謳ってますが、さてさて。