オープンアクセス・サミット2014で発表してきました #oasummit2014
http://www.nii.ac.jp/content/event/2014/OA_summit.html
10月21日・22日にNIIで行われた「オープンアクセス・サミット2014」というイベントで、ちらっとプレゼンをしてきました。
発表内容
機関リポジトリ推進委員会技術WGのメンバーとしてのお仕事です。JAIRO Cloudとresearchmapは連携したほうがいいよね、というだけの内容で、いまどうなってるか、これからどうするか、というお話をしてきました。
機関リポジトリと研究者データベースの連携というテーマの難しいところは、連携じゃなくていっそ統合したほうがいいんじゃないかという流れになるところです。そうとも言えるし、そうでないとも言える。難しいところです。自分でもまだぱきっと言い切れません。この手の研究者データベースは海外では「CRIS(Current Research Information System)」と呼ばれ、連携については「CRIS-IR (Interoperability)」というキーワードで語られています。COAR Observatoryの第3号でCRIS-IRの特集が組まれましたが、それを読むと海外でも悩みは同じなんだなあとほっとします(ほっとしてていいのか)。CRISについてはいまオーバービューをまとめているところで、そのうちブログに書けたらと思ってます。
なお、裏を取らなかったのでお話しませんでしたが、京大の研究者データベースもこの8月のリニューアルで、researchmapをメインにしたものになったそうです。
イベントの感想
発表資料は事前にウェブで公開されてますので、ご参照ください。
第一部:第3回SPARC Japanセミナー2014「「オープン世代」のScience」(10/22)
いろいろな分野(といっても人社系は不在)から元気でいまっぽい研究者をお招きして、どんなスタイルでどんな研究をしているのかという、華々しく、夢のある発表を聞きました。トップバッターがアート系というのも新しい。オープンアクセスというキーワードを無理やり組み込んでないところが、逆に良かったかな。4人目、NAIST・駒井先生の「オープンアクセス(オープン化)は研究者のいちばん大切な資源である時間を増やしているか?」という発言は心に留めておきたい。
こういう方々がいる一方で、オープンにすることに興味がない、あるいは積極的に避けたいというクローズド志向の研究者もいるのでしょうけど。終わったあとで、これ「世代」による差なのかなあと考えていました。オープン世代の次の世代はちゃんとオープン世代なのか、とか。Facebookでもだんだん年上の方と友達になることが増えてきましたが、「面白いと思ったものをすぐシェアする」のは年齢は関係なさそうです(同じくらいの年齢でも、自分の両親はそういうキャラではないし、おそらくリテラシーもない)。
第二部:未来への飛翔~機関リポジトリの更なる発展を目指して(10/23)
こちらは機関リポジトリ中心。
最初の京大・引原先生の基調講演は、消化しきれてませんが大変勉強になりました。前日のややカオスな感じとは打って変わってピリッとシビアなお話が多い。でも、終わり際に「オープンアクセスはピュアなだけではない。でもピュアな話をしないといけない」と言ってらして、ああ、この方は夢の見れるリアリストだ、と思ったのでした。
続いて、機関リポジトリのコンテンツに対するDOI付与実験や、既存の機関リポジトリからJAIRO Cloudへの移行実験の報告が(その途中で自分のプレゼンも)。DOIのほうは、紀要発行元と調整して付与した北大と、機械的に採番していた静岡大が対照的でしたし、麻布大の話を聞いてJAIRO Cloud使うとめっちゃ楽やなあと感心したりしました。移行実験はこれでおしまいで、これからは実験ではなくどんどん移行を進めていくそうです。
最後は、JAIRO Cloudの有料化というこれまたピリリとしたはなし。機関規模に応じて年間8万〜64万という料金体系は、その算出根拠を聞いても聞かなくても安いなあと思えるものです。それでも、高いという声があったりして、そんなもんなのかと。また「JUSTICEと比べて高い」という、なぜそこを比較するのかとよく分からない(学内他部署からの)意見もあるそうです。NIIとJUSTICEを混同するのも、クラウドサービスとコンソーシアムを混同するのもおかしな話ですが、まあ外部の方からすればそんなものなのかもしれない。何を言われるか分からないから気をつけよう。有料化の議論に初めて接したのですが、NIIの進め方もちょっと微妙だなあと思う一方で、NIIにぶら下がろうとする(一部の)ユーザ側の姿勢も嫌だなあと感じる。そういう雰囲気になるだろうと思って、牽制のために、セッション2の質疑の際にJAIRO Cloudの運営体制について質問しておいたんだけど……(なお、5人とのこと)。
このコミュニティをめぐる議論は、今後のNIIと大学図書館の関係のゆくえを象徴するものだなあ、と思える。 #oasummit2014
— HAYASHI Yutaka (@hayashiyutaka) 2014, 10月 22
という感じです。NII、大変です。
クロージングは大向先生。鮮やかに2日間のwrap upをされてました。「世代」じゃないよね、という話をしてくだってちょっと嬉しい。「born open」ということばも飛び出しました。
「オープン世代」のコンテンツと図書館のワークフロー。コンテンツが「born open」になっていく時代に、図書館員はどうやって仕事のワークフローのなかでコンテンツと向き合えるか、というような。 #oasummit2014
— HAYASHI Yutaka (@hayashiyutaka) 2014, 10月 22
# 終了後の情報交換会(懇親会)で浴びせられた衝撃のフレーズについては書かないでおこう。。