図書館の価値をデータで示すBIツールーSerials Solutions社“Intota Assessment”のベータテストが開始

http://dev-mkt.serialssolutions.com/assets/uploads/intota-assessment-graphic-final.png

2013年6月27日から7月3日にかけてシカゴでALA年次大会が開かれています(知人が参加しているようで羨ましい).そのせいもあってここのところ図書館系システムベンダが続々とプレスリリースを出していてチェックが大変…….数日で数十件というレベルです.



そんななか,日本でもおなじみのSerials Solutions社が,6月26日付けで,鋭意開発中の次世代型図書館業務システム“Intota”(いんとーた,で良いはず)についての発表をしています.

http://www.serialssolutions.com/en/press_room/detail/2256



次世代型図書館業務システムなどと言われている製品群については,

などをご覧ください.



今回のプレスリリースでは,米国のマリストカレッジ(Marist College)で,“Intota Assessment”という図書館のコレクション分析ツールのベータ版の運用が始まったことが発表されています.Intota Assessmentは,その名のとおりIntotaの一部を成すサービスで,Intotaスイートのなかで最初にリリースされるものになります.

Intota Assessmentの主な機能として,

  • コレクションの維持管理を簡便化する
  • 投資効果(ROI)を算出する
  • 図書館の価値をはっきりと示す

の3つが挙げられています.

Intotaというのは紙や電子といった媒体を問わずに図書館のコレクションを管理することをウリとしたシステムですが,Intota Assessmentもそのような区別なく,コレクションの統計分析やレポーティングを行うことができるのが特徴です.冒頭の図を見れば分かるように,利用データやその他の基礎データベースに基づいてその図書館で必要(acquire)/不要(deselect)なコレクションを分析したりできる,そんなツールのようです.

マリスト・カレッジは,6館のIntotaの開発パートナーのうちで初のIntota Assessment導入館になります.他の5館(Ball State University,Johnson County Community College,Oklahoma State University,The State University of New York at Geneseo,University at Buffalo, The State University of New York)もまもなく導入するということです.

これ以上詳しいことについては以下のページをご覧ください.



さて,Intotaに関しては1月24日にもプレスリリースが出ていて,ここでは“business intelligence tools”という表現が使われています.BI(ビジネスインテリジェンス)ツール.

ちょうど6月27日にInnovative Interfaces社が“Decision Center”というサービスの正式リリースを発表していますが,こちらも似たようなBIツールなのだと理解しています.

BIというのは「業務システムなどから蓄積される企業内の膨大なデータを,蓄積・分析・加工して,企業の意思決定に活用しようとする手法」というような意味です.

このことばは日本の図書館システムの文脈ではあまり聞いたことがないのですが,わたしは,2008年にEx Libris社の図書館システムALEPH(現在は慶應やNDLで導入.当時は日本未上陸)のデモをしてもらったときに初めて知りました.ALEPHの統計ツールである“ARC(Aleph Reporting Center)”のなかでBIRTというEclipseプラグインが使われているのが気になって調べていたら出会ったのでした.

そのときのメモを見返したら(ARCを見て)「図書館システムは『現状認識→サービス改善というアクションをサポートするものだ』という姿勢が,このレポート機能に特に色濃く現れているのだと感動した」とありました.今からするとちょっと恥ずかしくなるような感想ですが,就職一年目だったので…….まぁ,当時の興奮が伺えます.



そんなわけで,次世代型図書館業務システムのなかで後発組になるIntotaのニュースが久しぶりに聞けて良かったなぁというお話でした.