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メモ:ディスカバリーサービス「Primo」の紹介(『薬学図書館』58巻4号)

先月頭に id:tzhaya さんから聞いて気になっていたプロダクト・レビューがやっとメディカルオンラインで読めるようになっていました(冊子体は薬学部図書室にしかないのでずっと待っていた).

平野覚. ディスカバリーサービス「Primo」の紹介: Primo―Discovery & Delivery. 薬学図書館. 2013, 58(4), p. 319-330.

ユサコさんによるPrimoの紹介記事は過去にも出ていますが(伊藤2011平野2010),それらよりも深く突っ込んだ内容で,読み応えがありました.そうそう,こういう(導入したら分かるんだろうけど,っていう)ことをオープンに解説していただけると嬉しいのです.そうしないとプロダクト間の比較がきちんとできないので…….

以下,気になったところをメモ.




インデクス(§1)

Primo Centralに収録されているデータは学術出版者やアグリゲーター,データベースベンダーから提供されているものが主体であり,その総数は2013年初頭で約4億2千万件を超えている。国内の情報資源についてはJ-STAGE,JAIRO,CiNii Articles,日本物理学会誌,日本応用物理学会誌などがすでに収録され,医中誌Web,JapanKnowledgeなどは現在2013年中の収録に向けて作業が進められている。またその他の資源についても対応を順次進めており,今後より多くの資源が検索可能になる予定である。

4.2億だったんだ.思ったより少なかった.

CiNii ArticlesはNII-ELSのみ? 医中誌はすでに収録されたとかいうはなしを聞いたような(非公式ソース).しかし,分かっていたことですが先日の研修会で紹介した表ではJ-STAGEしか○つけてないのでずいぶん足りてない.ユサコさん,Ex Librisさん,ごめんなさい(でもできたらその都度リリース出していただけると……).

参考:
四大ウェブスケールディスカバリーサービスのインデクス収録件数は?
http://cheb.hatenablog.com/entry/2013/10/22/192726

岐阜県図書館・岐阜大学図書館研修会でおはなししてきました
http://cheb.hatenablog.com/entry/2013/11/08/183632




検索インタフェース(§2.1)

いわゆるsingle search boxだけじゃなく,以下のようなタブ(「プレフィルタ」)式UIも提供.

一方で一定の狙いがあって検索を行いたい大学院生や研究者,あるいはすでに機関内の資源の利用についてある程度の経験のある利用者がディスカバリーを利用することを考えるのであれば例えば所蔵資料を中心とした検索,あるいは論文を中心とした検索など,ある程度事前に資源を分けて検索させることも効率的だと考えられる。

おそらく同様の狙いから,EBSCO Discovery Serviceは専門分野別のインタフェースを用意するという手法を取ってますね.
http://www.ebscohost.com/discovery/content/subject-research




ランキング(§3.2)

基本的にはメタデータの各項目において検索語がどのくらい出現するかを重みを付けてカウントしている.しかしそうすると書籍というメディアは論文に対して相対的にスコアが低くなるためいくつかの工夫を用意しているという.

ブースト機能

重み付けのことをboosting levelと言っている.ブースト機能によってタイトルという項目の重み付けを高くするといった設定ができる.しかしこれだけでは書籍だけをランキング上位に持ってくることが難しいため,「所蔵レコードを強制的にブースト」する機能も用意しているらしい.これは,書籍のレコードのうち適合度がトップのものを検索結果の1ページ目の指定位置にさしこんで表示するというもの.

ScholarRank

Primoでは「学術情報検索用の適合度ランキング計算アルゴリズム」をこう呼んでいる.アルゴリズムにおいては以下のようなことを計算に入れているらしい.

利用者のクエリは,

  • ノウンアイテムサーチ(既知資料検索)
  • ナロートピックサーチ(専門的な検索)
  • ブロードトピックサーチ(基礎的な検索)
  • オーサーリレーテッドサーチ(著者名を含む)

に分けられ,これに応じて資料の関連性の高さは変わってくると考える.例えば,ブロードトピックサーチであれば,レファレンス資料やレビュー資料が専門的な資料よりも関連性が高いと評価されるべき.

bXのデータも重要性評価に使われている.

利用者プロファイルで設定した専門分野を使って特定の分野をブーストするというパーソナライゼーションも可能.




導入館数

国内でも「2013年にはすでに3件のPrimoが公開されており」とある.

3件……? 創価大学札幌医科大学と,あとひとつはどこ……?[*1]

参考:
国内大学図書館におけるディスカバリーサービス導入事例のリスト
http://cheb.hatenablog.com/entry/2013/03/19/122041

*1:あとひとつは慶應説が出ています.私は「2013年内」と読んだのですが,「2013年までには」と受け止めて,かつ,奈良先端と神戸大はPrimo Centralだけだから「Primo」とは別枠と考えれば,たしかに慶應になる.